豊胸手術の事故原因は?過去の事例に学んで予防しよう!

豊胸手術の事故原因は?過去の事例に学んで予防しよう!

胸が小さいことで悩んでいる人にとって、豊胸手術は最後の砦でしょう。とはいえ、他のバストアップ法に比べて、ちょっと一線を越える感のある豊胸手術。効果のあるなし以上に、一番怖いのは手術による事故ですよね。

かと言って、豊胸手術=危険ととらえるのも行き過ぎだし、バストアップのための選択肢を狭めてしまうことになります。

豊胸手術を受けるかどうか決めるための現実的な判断ができるようにするためには、情報収集が欠かせません。これまでにどんな事故が起きているのか、その原因はどんなことだったのかを知れば、自然と予防法も見えてくるはずです。

今回は、そのための情報や気を付けるべきことなどについて、お話します。

何が原因だったの!?実際に起きてしまった事故を振り返ろう

豊胸手術による事故は、実際にいくつも起きています。豊胸手術を受けたいと考えている人にとっては、決して人ごとではありませんよね。では、実際に起きた事故を見ていきましょう。

豊胸手術による死亡事故の経緯

一番恐ろしいのは死亡事故ですが、ここ最近でも、2017年2月に愛知県名古屋市で死亡事故が起きています。局所麻酔で手術を受けていた30代の女性が、手術途中から会話ができなくなり意識不明となり、約1時間後に死亡しました。

原因は明らかになっていませんが、とてもショッキングなニュースです。

もっと過去にも死亡事故は起きてしまっています。

2010年に国内の美容外科クリニックで起きた死亡事故は、太ももから吸引した脂肪をバストに移植する「脂肪注入法」による手術で、一人で手術を行っていた勤務医の麻酔の量が適切でなかったために、急性麻酔中毒にさせてしまったことにより死に至らしめたというものです。

このケースでは、急性麻酔中毒になってから連絡を受けた院長も、すぐに救急病院へ搬送するなどの然るべき処置をとらなかったことも、死亡させてしまった一因となっている可能性があります。

麻酔のミスが大きな問題

このように、この死亡事故には、麻酔と救急搬送という二大要因が大きくかかわっています。

中でも、これから豊胸手術を受けることを考えている人に絶対に気をつけていただきたい点は、麻酔についてです。

明らかに容体の悪い患者を救急搬送しなかったというのは医師としてあるまじき行為であり、その結果死亡させてしまったとなれば、ますます許すことはできません。しかし、これはどちらかというと稀な対応であり、むしろ問題は麻酔の方です。


現在の美容治療の重大な医療事故の多くは「麻酔のミス」が原因です。執刀医一人で手術と麻酔の両方を行うことで、適切に麻酔を管理できなくなることが、危険な状況を引き起こすのです。

悪質な美容整形外科もある

美容外科業界としても事故や訴訟は避けたいですから、近年は死亡にまで至る事故は少なくなっています。しかし悪質な美容外科医がいることも確かです。

2006年、茨城県内の医院で、30年ほど前に注入したワセリンを抜去し、シリコンバッグ挿入手術を受けた女性が、局所麻酔をした約40分後に痙攣を起こして心肺停止となり、搬送された病院で死亡しました。

麻酔および執刀をした稲吉医師は元眼科医で、その当時に診療報酬の不正請求で有罪となり、3年間の医業停止処分を受けています。しかし、処分中にも美容外科医として勤務したり、上記の死亡事故後には所得税の脱税で在宅起訴されるなど、非常に悪質なドクターだと言えます。

このような悪質な医師が執刀するというのは極端なケースかも知れませんが、多数存在する美容整形外科の一部には、収入のために不要な美容外科手術をすすめたり、じゅうぶんな安全対策を取らない医師もいることは覚えておきましょう。

また、上記の死亡事故もやはり麻酔後の事故であること、稲吉医師は麻酔の専門医ではないことを考えると、麻酔法や麻酔科医の存在が重要であることが分かります。

うわ~、死亡事故の事例を2つ読んだだけでも、すごく怖くなっちゃうよ。キレイになりたいと思って手術を受けたのに、その結果命を落とすことになっちゃうなんて…。そして、その原因は麻酔にあることが多いんだね。

世の中には悪い医師やクリニックもあるんだということを念頭に、しっかりと冷静に美容外科を選ばないといけないね。

もちろん、熱意を持ってやっている医師の方がずっと多いから、きちんと探せば信頼できるところがきっと見つかるよね!

麻酔科医のいる病院を選ぼう!事故原因の多くを占めるのが麻酔!

麻酔の大切さを知っていただくために、ここで一般的な医師と診療科目についてお話します。病院やクリニックへ行くと、「内科」「外科」「産婦人科」「精神科」等々、様々な診療科の科名が標榜されています。これは、どのように決められるか知っていますか?

麻酔科医は特別!

「医学部で専攻した科目や、研修先で決まるんじゃないの?」と考える人が多いと思います。それは、おおむね正解ではあるのですが、実際は必ずしもそうとは言えないのです。

麻酔というものは特殊な分野で、通常の医師免許とは別に「麻酔標榜医」という資格があります。「麻酔科」というはこの資格がないと掲げることができないのです。

麻酔とは、やはり特別な技術を要するものなのですね。

適切に使わないと大きな事故につながるおそれもあるわけですが、麻酔専門医がいない美容外科は存在しますし、そこで豊胸手術を行うことも可能なのが現状なのです。

麻酔専門医のいる病院を選んで

豊胸手術の死亡事故もしくは重篤な事故は、麻酔のミスが原因であることが大半です。

なので、重篤な事故を防ぐために大切なことは、麻酔専門医のいる病院を選ぶことが前提となります。

病院を選ぶ際は、直接問い合わせて、麻酔の専門医がいるかどうかを確認することをおすすめします。

麻酔科は特別な診療科で、特別な資格を持った麻酔科医がいないと標榜できない科なのですね!

一方、美容外科医は医師免許さえあれば誰でもできるものなので、経験がない美容外科医に執刀されることもじゅうぶんあるというわけですね。

とはいえ、豊胸手術では執刀にまつわる重大事故よりも、麻酔の事故が多いようなので、麻酔科医がいるかどうかを第一の基準にしてクリニック選びをするのが良さそうですね。

どの手術法にどんな麻酔を使うの?麻酔の特徴や手術法との関係

さらに、麻酔の種類によっても手術の安全性が変わってきます。ここからは麻酔の種類とその特徴についてお話します。

麻酔の種類とその実際

麻酔の種類は大きく全身麻酔と局所麻酔に分けられます。

麻酔の種類 方法 意識の有無
全身麻酔 マスクを装着し、口から麻酔薬を吸引する
または血管から点滴のように麻酔薬を入れる静脈麻酔
局所麻酔 塗り薬やスプレーなどで狭い範囲の痛みを取る
または背骨から麻酔薬を入れる硬膜外麻酔

豊胸手術においては、静脈麻酔と局所麻酔などの2種類を組み合わせて使うこともまれではありません。どの麻酔法を使うかは、クリニックの方針や豊胸手術の方法によって異なります。

豊胸手術の方法と麻酔法

豊胸手術にはいくつかの方法があり、麻酔法や手術法、効果などが異なります。詳しい手術方法などは、各ページをご覧下さい。

豊胸手術の方法と麻酔法との関係を表にしてみると、以下のようになります。

豊胸法 麻酔法 安全性
豊胸バッグ
(生理食塩水バッグ・シリコンバッグ挿入法)
全身麻酔
脂肪注入 全身麻酔
ヒアルロン酸注入 局所麻酔
血液加工物注入 局所麻酔

全身麻酔は意識を失うため、他の方法とくらべるとやはり事故の確率は高まると言えますし、簡単な局所麻酔だけなら比較的安全性は高いです。

しかし、しっかりした麻酔専門医が見守っていれば全身麻酔のもとでの手術も安全と言えますし、信頼できない医師ならば局所麻酔だって危ないとも言えます。

また、これはあくまでも一般的な傾向であり、実際どの施術にどんな麻酔を使うかはクリニックによって多少の差があります。

同じ手術法でもクリニックによって麻酔法が違うことはまれではありませんので、このような観点からも情報収集をして、できるだけ安全なところを選んで下さい。

麻酔は大きく分けると、全身麻酔と局所麻酔があるんだね。それくらいなら何となく知っていたけど、それぞれの中にも硬膜外麻酔とか静脈麻酔とか、いろんな種類の麻酔があるんだ~。

麻酔科医の力量が安全性に大きく関係するのは分かったけど、でも結局、どの麻酔が一番安全なのかな?

まず、クリームやスプレーによる麻酔は皮膚からの吸収だから、作用もおだやかで安全性も高いわ。ヒアルロン酸注入などの比較的カンタンな豊胸法なら、クリーム麻酔だけで済むこともあるのよ。

麻酔方法によって豊胸手術の方法を選ぶのもアリね。

一方で、硬膜外麻酔は事故率が高く、1000件に1件の割合で何らかの事故が報告されているとも言われているわ。不安なら、この麻酔法を使っていないクリニックか、熟練の麻酔科医がいるところを選ぶといいわね。

麻酔ミス以外にも事故原因はある!実際はどんな事故例があるの?

ここまでは一番危険な麻酔ミスによる事故についてお話してきましたが、豊胸手術の事故はこれだけではありません。では、麻酔ミス以外の事故にはどんなものがあるでしょうか。

脂肪注入法におけるミス

脂肪注入法の場合、まずはバストに注入するための脂肪を採取する必要があります。通常は、お腹や太ももから脂肪吸引するときに、吸引する管を皮下脂肪に差し込みます。

ところが、このときに皮下脂肪よりも深く管を差し込んでしまい、内臓などを傷つけるという事故が発生しています。

傷つけられたために腹膜炎などを起こしてしまうと、最悪命にもかかわってきてしまいます。

このミスは医師の経験不足や技術不足が招いたものと考えられるので、施術件数が多く、研修などをきっちり受けている経験豊かな医師がいるところを選ぶことによって回避できます。

出血にかかわるミス

豊胸手術は、病気による手術よりは手軽なイメージがあるかもしれませんが、シリコン挿入手術などを代表とする豊胸バッグを乳房に入れる方法では、皮膚や筋肉の切開をするため、ある程度の出血は必ずします。

きちんと止血すればまったく問題はないのですが、止血剤や医師の技術が不十分だったり、患者の体質や飲んでいる薬の副作用などで血が止まりにくい状況があると、出血多量となってしまうことがあります。

そうならないためには、やはり経験豊かで技術の高い医師を選ぶことが大切です。
シリコン法での切開場所
さらに、豊胸バッグを挿入する部位が、腋窩よりもバストラインの下(乳房下縁)からの方が、出血量のコントロールがしやすいと言われているため、そのような施術方法を採っている病院を選ぶことも、出血ミスを回避する有効な手立てです。

手術成功後の事故も

手術が無事に成功してからも、豊胸バッグが体内で破損するなどの事故もかつてはありました。しかし、現在ではバッグが改良され、そのような事故はずいぶんと減りました。それでも、体内に異物を入れるわけですから、絶対に永久に安全とは言い切れません。

出来栄えに失敗感を覚えることも

また、医学的には問題がなくても、希望していた形や大きさにならなかったり、効果が維持されなかったりしたために失敗と考える女性もいます。病巣を切ったら成功となる保険適用の手術と異なり、美容医療だからこそ起こる失敗と言えます。

芸能人の方が、ある時突然バストが大きくなり、その後再び小さくなったように見えたため、「シリコンバッグが破れた!?」などとネット上で話題になっていましたが、これはヒアルロン酸注入などの効果が永続しない方法で豊胸したのではないかという見方に落ち着いています。

このようなケースで、あらかじめ効果が続かないと理解してプチ豊胸を受けるなら問題ないのですが、医師の説明やカウンセリングが不十分だったりすると、失敗したと感じてしまうことも、大いにあり得ます。

これを回避するためには、やはり事前の入念なカウンセリングが必要です。また、脂肪幹細胞移植など生着率の高い方法を選ぶことで、満足度を高めることも可能です。

脂肪注入法は、注入の前に脂肪吸引があって手順が多いため、その分、事故の確率も高まるのはやむを得ないですね。脂肪注入法で豊胸したい人は、症例数が豊富なクリニックを選ぶべきですね。

事故とまではいかなくても、手術後のバストが気に入らなかったら、気分的に失敗例と化してしまいますよね。そうならないためにも、術後の経過もしっかりと確認して、アフターケアが充実したところでお願いすべきですね。

豊胸手術を受ける前には、充分な情報収集と慎重な判断が大切!

豊胸手術を受けるかどうかは、女性にとってものすごく大きな問題です。程度の大小にかかわらず事故を避けるため、どうか慎重に情報収集をして、不安な点は医師にどんどん質問して、納得したうえで決めるようにしてくださいね。

特にどの施術法にどんな麻酔法を使うのか、麻酔の専門医が常駐しているかの2点は、信頼できるクリニックかどうかを見極めるうえでも、絶対必要な情報です。遠慮なく問い合わせて、疑問を解消しておきましょう。

バストの美しさももちろん大切だけど、命や健康はそれ以上に大切なものよね。

豊胸手術によって、その何よりも大切なものがおびやかされないよう、しっかりと情報収集をしてクリニックや医師を選ぶことが重要よ!それさえできれば、豊胸は成功したも同然ね。

手術法と麻酔法、執刀医の経歴と麻酔科医の存在。最低でもこれだけは、確認すべきよ。遠慮せずどんどん質問して、納得してから契約してね。それが、美バストへの近道よ!