少しでも患者の負担を減らしたい!乳がん治療に役立つ「ロボット」

2015/11/16

乳がん患者さんには、『生きたい、でも胸は切除したくない』という切実な悩みがあります。

女性の象徴とも言える胸を切ることは、できればしたくないものですが、乳がん治療と言うと、どうしてもそれを思い浮かべてしまいますよね。

ところでみなさんは、胸を切除する乳房切除術と、胸を切除しない乳房温存術、どちらの治療法が多く取られていると思いますか?

実は、現在では、乳房温存術の方が多く選択されているのです。また、近年、胸にメスを入れずに胸を残す治療法も確立され始めています。

そのような流れの中で、より患者さんへの負担が小さく、正確な治療への期待を込めて、ロボットを役立てようという試みがあります。

そこで、ロボットを利用する治療とはどのようなものか、詳しく見ていきましょう。

「乳房切除」と「乳房温存」、どちらを選ぶべきなの?

乳がんの治療には、乳房を温存する方法(乳房温存)と切除する方法(乳房切除)とがあります。治療にどちらを選ぶのかは、がんの状態によって決められます。

治療法を決めるための3つの基準

乳房を切除しなければいけないのか、それとも温存できるのか、それには基準があると日本乳癌学会では述べています。

以下のいずれかに該当する場合は,原則として乳房温存療法が適応にならず,通常乳房切除術が行われます。

①2つ以上のがんのしこりが,同じ側の乳房の離れた場所にある場合

②乳がんが広範囲にわたって広がっている場合(マンモグラフィで,乳房内の広範囲に微細石灰化が認められる場合など)

③以下の理由で,温存乳房への放射線療法が行えない場合

引用元:日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン

③で言う以下の理由とは、下記のものです。

  • 妊娠中
  • 体調などの関係で放射線療法を受けるための体位が取れない
  • 過去に同じ部分に放射線療法を受けたことがある
  • 膠原病の合併症がある

また、日本乳癌学会では、しこりの大きさに関しては科学的な基準があるわけではないとしながらも、再発を少なくする・美容的に考えて満足する形を残すという観点から、乳房温存ができるしこりの大きさの目安を3cm程度と考えています。

さらに、乳房の大きさと、しこりの大きさのバランスを考えた時、美容的に考えて綺麗に仕上がらないと判断した時や、患者さんが希望しない場合も、乳房温存を行いません。

これらを総合的に考えて、乳房温存をするかどうかが決められます。

乳房温存の新しい治療法「ロボットの導入」

乳房温存は、胸の見た目もあまり変わらず、また切除する部分が少ないことから、患者さんに負担をかけにくい治療法です。そこで、現在では乳房を温存する治療法が多く取られています。

しかし、乳房を温存することだけにこだわりすぎると、がん細胞を取り切れずに再発の危険性を高めてしまうことがあります。

そこで、乳房温存ができるか、医師としっかり相談したうえで、治療法を選択することが大切です。

現段階では、乳房を温存する際も、乳房切除と同じようにメスを使用した手術を行うのが一般的な治療法なのですが、さらに患者さんの体に負担をかけないようにと、メスを使わないで治療を行う方法も新しく考え出されています。

その中で、より正確な治療を行うことを目的として、ロボットを導入する研究も合わせて行われています。

では、乳房温存の治療法にはどのようなものがあるのか、どのような治療であればロボットの導入に意味があるのか、見て行きましょう。

「乳房温存」のための、3つの治療法

現在では、乳房を温存する治療法として、下記の3つがあります。

  • 乳房温存術(メスを使用する手術)
  • RFA(ラジオ波焼灼療法)
  • FUS(MRガイド下収束超音波手術)

では、それぞれの詳細を確認しましょう。

乳房温存術

メスを使用して手術を行う乳房温存術は、方法は一つではなく下記のような種類があります。

  • 乳房扇状部分切除術
  • 乳房円状部分切除術
  • 腫瘤摘出術
  • 乳腺区域切除術

乳房扇状部分切除術は、乳房温存術の中では一番切除する部分が大きい手術法です。

乳房を、扇状に4分の1切除します。広範囲にわたって切り取るため、がん細胞を残す可能性は低くなります。

乳房円状部分切除術は、しこりとその周囲を含めて円状に切除する方法です。

扇状に切除するよりも、切り取る部分が少なくて済むので、乳房の形に変化が起こりにくいのが特徴です。その分がん細胞の取り残しが懸念されます。

腫瘤摘出術では、しこりのみを切除します。胸の形への影響は小さいですが、その分がん細胞を取り残す確率が上がります。

乳腺区域切除術は、ごく初期の段階の乳がんに対して使われる方法で、病巣のみを切除するものです。

RFA(ラジオ波焼灼療法)

ラジオ波と言われれば、AMラジオやFMラジオを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、乳がん治療で使われるラジオ波は、AMラジオのものと同じ周波数の電流です。

そのラジオ波の電流を利用して、がんの組織を焼いてしまうというのがラジオ波焼灼療法です。

■ラジオ波焼灼療法の治療法

まず、超音波装置を利用して、乳房中のどこにがん腫瘍があるか、位置を確認する。

次に、皮膚の上から腫瘍に針を刺し、針にラジオ波を流す。すると、高熱が発生する。

発生した熱でがん腫瘍が焼かれ、がん細胞が死滅する。

がん細胞は熱に弱いという特性を持ち、42℃~43℃で多くが死滅するため、この方法で治療ができます。

この方法には、メリットがいくつかあります。

  • 治療時間が短い(1回15分程度)
  • 入院の期間が短い
  • 外科的な手術と比べ体への負担や痛みが少なく、回復も早い
  • 副作用が無い
  • 胸の形がほとんど変わらない

ラジオ波焼灼療法は、体への負担が少なく回復が早いうえに、副作用もありません。

さらに、胸の形もほとんど変わらないというのですから、がん患者さんからすればぜひこの方法で治療を受けたいと思われるかもしれません。

しかし、この方法にはデメリットもあります。

  • 腫瘍が複数ある場合・1つでも大きい場合(2cmより大きい)はこの方法は適さない
  • 治療実績のデータがまだ少ない
  • この方法が使えるかどうかの判断が難しい
  • 組織を焼いてしまうため、後から病理検査をすることができない
  • 自費診療になるので費用が高額

腫瘍の状態によってはラジオ波焼灼療法が使えないことがありますし、データが少ないことから、一般的にできる方法とはなっていません。

それから、この治療法に適さない人にこの方法で治療を行った場合、再発するリスクがあるため、がん細胞の状態はどうか、転移していないかなどを治療前に慎重に調べる必要があります。しかし、その判断が難しいのが事実です。

その上、メスを使って手術を行った場合は切除した組織を調べることでがん細胞が残っているかどうかがわかりますが、ラジオ波焼灼療法の場合、組織を焼いてしまうため、それを調べることもできないのです。

実は、ラジオ波焼灼療法は、すでに肝臓がんに対しての治療として普及し、保険が適用されています。肝臓がんに対する治療法としては、治療の基準がすでにしっかり決まっています。

しかし、乳がんに対しては臨床試験の段階で、治療の基準も決められていません。乳がんにおいては一般的な治療法となっていないため、医師の経験も少ないのが現状です。

ロボットの利用が考えられているのは、このラジオ波焼灼療法においてです。

後ほど詳しく確認しますが、ロボットを使用することによってがん細胞がある位置が特定しやすくなり、治療をより正確に行うことができます。

FUS(MRガイド下収束超音波手術)

熱によってがん細胞を死滅させるという点では、ラジオ波焼灼療法と同じですが、熱を発生させるために利用するのがラジオ波ではなく、超音波だという点で違いがあります。

■MRガイド下収束音波手術の治療法

治療前に鎮静剤(痛みを和らげるため)・鎮痛剤(治療がMRIを利用して行われるので、狭い所に対する不安を和らげるため)を投与して準備する。

うつぶせの状態で横になり、MRIを利用してがん細胞の位置を正確に特定しながら治療を行う。

弱い超音波の線を集めて束にしたものを照射し、温度を上げてがん細胞を死滅させる。

治療時間は2時間から2時間半程度です。

超音波の線を集めることは、虫眼鏡に例えられます。虫眼鏡で太陽の光を一点に集めると、紙が焦げますよね。あれと同じイメージです。

この方法にも、メリットがいくつかあります。

  • 日帰りで治療できる
  • 体外から超音波を照射するので体に傷をつけない
  • 副作用が無い
  • 胸の形がほとんど変わらない

日帰りで治療ができ、さらに体に傷をつけることも無いとなると、とても画期的な治療法だと思いますよね。

しかし、この方法にもデメリットがあります。

  • 腫瘍の大きさが1.5cm以下でないとできない
  • 乳がんの進行度が0~1期の人にしかできない
  • 患部付近に外科手術をしたことがあったらできない
  • 治療実績のデータがまだ少ない
  • 自費診療になるので費用が高額

ラジオ波焼灼療法よりもさらに腫瘍が小さくなければならないなど、条件がより細かくなっています。

ラジオ波焼灼療法と同じく、データが少ないことから、一般的にできる方法とはなっていません。

実は、MRガイド下収束超音波手術は、すでに子宮筋腫に対しての治療法として普及しています。しかし、乳がんに対しては、まだ臨床試験の段階です。

ラジオ波焼灼療法の方が実施例が多いので、ラジオ波焼灼療法以上に今後の治療実績のデータが求められます。

医師の技量に左右されない!ロボットを導入する意味

乳がんの診断や治療は、どの治療法の場合でも医師の技術や経験に左右されやすいという特性があります。

乳がんは触診によって診断することが多いがんなのですが、胸は柔らかいので形が変化しやすいため、医師にとって診断が難しいからです。

また、患者の側からしても、胸を切除するとなると肉体的にも精神的にも負担がかかります。

胸という場所上、どうしても治療に消極的になりやすいという女性の気持ちもありますので、やはり抵抗があり負担がかかる治療であると言えます。

その治療を、できるだけ患者さんに負担がかからない治療法で行い、なおかつも難しい診断をする助けになるなど、医療関係者にとっても負担が軽くなるよう、乳がん治療を支援するためのロボットの研究が行われています。

先ほど確認したように、ロボットの導入が考えられているのはラジオ波焼灼療法においてです。

では、なぜその治療法でロボットを導入する必要があるのか、見て行きましょう。

「ラジオ波焼灼療法」でロボットの利用が考えられた理由

ラジオ波焼灼療法は、小さな病変部位だけを治療することができるため、患者さんの体に負担がかからない治療法です。

さらに、美容面を考えた時、胸の形にあまり変化を起こさず治療できることから、精神的な負担も減らすことができます。

しかし、ラジオ波焼灼療法を行う上で技術的な問題もあるため、それを補えるロボットの開発が考えられているのです。

ロボットの開発を行っている機関では、下記のように述べています。

RFA療法は低侵襲な局所療法として症例数が増加しているが,

①乳房組織は柔らかいために穿刺時に病変部位が移動しやすく,精確な穿刺の実施が困難な点,
②焼灼範囲が画像診断装置等で視認できないため,治療上必要な焼灼領域を過不足なく確保することが困難な点

が臨床上の課題となっている.本研究では上記問題を解決する乳がん穿刺治療用のロボットシステムを提案する.
引用元:乳がんへの穿刺治療を支援するロボットシステムの開発

つまり、胸は柔らかいので、診断を難しくするだけではなく、針を刺した時にがん細胞が動く可能性があり、正確に刺せないことがあるのと、焼く範囲を視認することができないので、必要な部分がきちんと焼灼できているかどうかがわからないということです。

もともと医師の技術や経験に左右されやすい乳がんの治療です。その上、針をさす時にがん細胞が動いてしまうとなると、ますます医師の技術によって治療成績が左右されてしまいます。

そこで、メスを使わずにできるこの治療法ができるだけ正確に行えたらいいのに、と考えられるようになりました。その問題を解決するために、ロボットの開発が始まったのですね。

ロボットを利用した乳がんの治療方法

医師が乳がんの診断を行う場合、触診を行い、手で触った腫瘍の硬さをもとに種類を判断します。

治療の際には、超音波プローブを使って腫瘍の位置を確認しながら針を刺し、針にラジオ波を流して高温にし、がんを焼きます。

これをロボットによって行う場合、針と圧迫プローブという器具が一体になった、ロボットマニピュレータを使用します。

診断は圧迫プローブを用いて行います。これを利用して、がんのできている位置や、硬さを測定することができます。機械的に測定するので、位置や硬さがわかりやすくなっています。

治療の際には、圧迫プローブを押し込み、がん細胞を固定して針を刺し、熱によってがん細胞を焼きます。がん細胞が固定できるので、より正確に治療が行えるわけですね。

これまでに人の手で行っていた診断と治療を、ロボットを利用して行うことで、より精度の高い治療ができるのです。

早稲田大学 特許・研究シリーズによるそれぞれの治療を比較すると、下記の図のようになります。

ロボット治療との比較


ロボット治療との比較

メスを使用しないで治療ができる方法の、治療の精度が増せば、この方法が一般的に行われることが期待できるため、患者さんの負担を軽減することにつながります。

ただし、まだ乳がん治療に役立つロボットは研究段階なので、実用化されるのは先になりそうです。

乳がん治療に役立つロボットの実用化に向けての研究

乳がん治療に役立つロボットは、まだ研究段階にあるのですが、ヤギを対象として実験を行うところまで研究が進んでいます。

その中で、マニピュレータの位置をより正確に決められるように、使用している部品にたわみが起こらないようにすることで、マニピュレータの強度が改善されました。

また、乳がんの組織があることや、乳がん組織の弾性を推定できるということが実験からわかったことで、今まで医師が触診によって感覚で行ってきた診断を、数字的に表すことができるのではないかという新たな研究テーマも見つかっています。

これらが実用化できれば、より正確な診断と治療を行うことができます。

他の乳房温存の治療法との比較

他の乳房温存の治療法と比較して、ラジオ波焼灼療法で問題となるのは、治療の正確さという点です。

乳房温存をメスによる手術で行った場合、直接見ることができますので、手術を正確に行うことができます。

また、MRガイド下収束超音波手術の場合は、がん細胞の場所をMRIでチェックしながら治療を行うため、正確さという面では問題がありません。

しかし、メスによる手術だとメスを使わない場合より体に負担がかかりますし、MRガイド下収束超音波手術の場合、適応できる人がラジオ波焼灼療法よりも少なくなってしまいます。

そのため、ロボットの実用化によってラジオ波焼灼療法が一般的に行えるようになることが、より多くの患者さんの負担を減らすことにつながると言えるのです。

乳房温存を選んだ時の再発の可能性は?乳房切除術との比較

乳房温存を選ぼうと思った時、胸を残す方法を選んで、がんを取りきれないことがないだろうかというのが多くの患者さんが心配される点なのではないでしょうか。

そこで、乳房温存を選んだ時と、乳房切除術を選んだ場合で、再発のリスクに差があるのか、生存率はどうか、見ていきたいと思います。

乳房温存と乳房切除術、治療成績は同等です

まだラジオ波焼灼療法とMRガイド下収束超音波手術は一般的な治療法として認められていませんので、ここではメスを使った乳房温存と乳房切除術について比較しています。

日本乳癌学会によると、乳房温存と乳房切除術の治療成績は同等です。

乳房温存療法(乳房温存手術+放射線療法)が,乳房切除術と同等の治療成績が得られることが示され,乳房温存手術が行われる割合が増加しました(図2)。

しかし,乳房温存手術ではがんを取り残さないことが大前提であり,がんの広がりが大きい場合は,乳房温存手術は適していないため,乳房切除術が選択されます。
引用元:日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン

引用文中にある(図2)とは、下記の図のことです。

乳房温存と乳房切除術の治療成績

このように、乳房温存が選ばれることが多くなっているのが現状です。現在の乳がんの手術は、下記の目的で行われています。

  • 局所にあるがんを取り除く
  • 病理検査を行い、がんの性質を知る

その後、状況によっては放射線治療を組み合わせるのが一般的です。

通常の手術法の場合の再発率

メスを利用した乳房温存術と、乳房切除術の乳房内での再発率は下記の通りです(術後20年間)。

手術法 乳房内での再発率
乳房切除術 2%以下
乳房温存術(放射線治療併用) 14%
乳房温存術(放射線治療なし) 39%

この数字を見て、乳房温存と乳房切除術の治療成績が同じという先ほどの内容に、疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、手術後の生存率に差が無いことは、証明されています。違うのは、乳房内にがんが再発する確率と、見た目に変化があるかどうかです。

例えば、乳房温存を選んで乳房内にがんが再発した場合、その後で乳房切除術を受けても根治することができます。

乳房を温存して、再発後乳房切除を行っても、最初から乳房切除を行っても、生存率に差がないことがわかっています。

メスを使用しない方法による乳房温存での再発リスク

次に、メスを使用しない方法による乳房温存での再発リスクについて見てみましょう。

メスを使用しないラジオ波焼灼療法・MRガイド下収束超音波手術によって、乳房温存をした場合の再発リスクは、はっきりとわかっていません。

それには、下記のような理由があるからです。

  • 少数の治療例しかない
  • 短期間しか経過観察ができていない
  • 統一された基準が無い

治療実績のデータが足りない状況であることを確認したうえで、これらの治療法を選んだ場合の再発について、わかっている情報をまとめたいと思います。

ラジオ波焼灼療法を行った後の再発については、下記のことがわかっています。

  • 再発の報告がある
  • しこりの直径が2.1cm以上の場合に再発のリスクが高まる
しこりの大きさが2cm以下の場合に限って言えば、がん細胞の消失率は86%~100%であるという研究結果が、海外で行われた研究によって出ています。

乳癌学会で発表された、ある研究においての乳房内の再発率は、下記の通りです(術後3年)。

腫瘍の大きさ 再発率
2cm以下 5%未満
3.1cm以上 10%以上

この結果に関しては、ラジオ波焼灼療法を行うための基準を厳格化し、効果がある人にのみ治療を行えば、再発のリスクはもっと減るだろうと予想されています。

先ほど、再発のリスクがわからない理由として挙げた統一された基準が無いことが、ここでも問題になっていることがわかります。

また、現段階では、ラジオ波焼灼療法は人の手で行われています。それを、より精度の高いロボットを使用して行った場合、再発のリスクが変わる可能性もあります。

MRガイド下収束超音波手術を行った後の再発については、下記のことがわかっています。

  • 現段階では再発の報告はない
  • 腫瘍を死滅させられた割合は、100%でなかった場合もある

28人に対して、MRガイド下収束超音波手術による治療を行ったあと、通常のメスを利用した乳房温存術または乳房切除術を行って、治療結果を確認するという方法で臨床試験が行われました。その結果は下記のようになっています。

28人中の人数 死滅した腫瘍の割合
15人 100%
10人 95~97%
3人 95%未満

腫瘍を死滅させられた割合は、100%でなかった場合もあるということが、この結果からわかりますね。

一見、乳房を温存する場合は、通常の手術の方が乳房内での再発率が高く見えるかもしれませんが、今後の追跡によってはそれが変わる可能性もあります。

患者の負担が減らせる!ロボットを利用した乳がん治療のまとめ

以上のことから、乳がん治療にロボットを利用した場合、患者さんの負担が減らせると言える理由をまとめたいと思います。

  • ロボットの利用で正確にメスを使わない方法での治療ができる
  • ロボットの利用が考えられている治療法の方が適応できる幅が広い

乳房温存をする場合、現段階で保険が適用され一般的となっている治療法は、メスを利用しての乳房温存術です。

それでも、乳房を切除するよりは、乳房が残せるという点で患者さんの希望をかなえることができる治療内容となっています。

メスを使わない治療法は、まだ臨床試験の段階にあり、今後の研究が期待されます。

メスを使わない治療法の中では、ラジオ波焼灼療法の方がMRガイド下収束超音波手術よりもやや大きめの腫瘍にも対応できるなど、適応できる範囲が広くなっています。

しかし、ラジオ波焼灼療法には、判断が難しい、針を刺した時に乳房が動いてしまうなどのデメリットがあります。

それを補うロボットがあれば、医師の経験などに左右されることがなくなり、よりこの治療法の可能性が広がるのです。

ロボットの使用によってラジオ波焼灼療法が一般的になれば、メスを入れず体への負担が少ない治療が受けられるようになります。

さらに、美容的な面で考えても胸の見た目があまり変わらず綺麗に治療ができるため、患者さんの心の負担も減らすことができますね。

ただし、再発のリスクなど、今後長期に渡っての追跡が必要な面もあることから、慎重に選択したい治療法でもあります。

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