ブラジャーのルーツを知る!古代ギリシャから現代まで

ブラジャーのルーツを知る!古代ギリシャから現代まで

ほとんどの女性が、毎日ブラジャーを着用して過ごしていることと思います。私達女性にとって、とても身近な存在ですよね。

ところでそのブラジャー、いつ頃から女性が身につけるようになったか、アナタはご存知ですか?

実は、ブラジャーのルーツは、古代ギリシャまで遡ると言われているんです。そう聞くと、そんなにも長い間ブラジャーが使い続けられてきたのかと驚きますよね。

古代ギリシャだけではなく、これまでにいくつかの種類のブラジャーが使われていたことが知られていますが、中でも今のブラジャーの直接のルーツは、アメリカにあると言われています。

では、これまでにどんなブラジャーが見つかっているのか、詳しく確認しましょう!

歩行時に胸が動かないことが目的だった!古代ギリシャのブラ

現在で言うブラジャーのような役割を果たすもののうち、最初に作られたものは、古代ギリシャで使われていた簡単な布で、歩行時に胸が動かないようにすることが目的でした。

古代ギリシャとは、古代ローマの支配が始まる前のギリシャのことですので、紀元前753年よりも前にはすでにブラのルーツとなるものがあったということになります。

では、どのようなものだったのか、見てみましょう。

最初はアンダーバストに布を巻き付けただけのもの!

最初に使われたのが、アポデズムと呼ばれる布でできた小さな帯で、これはアンダーバストに巻き付けて使うものでした。

アンダーバストを固定することで、胸が動かないようにしていたんですね。

次第にウエストまで覆う形に変化!

布製の小さな帯だった最初のブラジャーのルーツとなるものは、だんだんとウエストまで覆う形に変化していきました。

これらはアナマスカリステルまたはマストデトンなどと呼ばれていて、胸の部分からウエストまで細いリボンを巻き付けたものです。だんだん、肌を覆う部分が広くなっていったということですね。

こんなにも昔から、胸が動かないようにと工夫された今で言うブラジャーを使っていたと言いますから、驚きます。

中国でも1000年ごろには使用されていた!絹製のブラ

今で言うブラジャーと似たような下着が使われていたのは、ギリシャだけではありません。中国の遼の時代にも、絹製のブラジャーが使用されていたことがわかっています。

発掘の際に、お墓から発見されたことで、この時代にもブラジャーに似たものがあったことがわかりました。

遼の国は916年から1125年まで続いていますから、その頃に使われていたものということになります。では、どんなブラだったのか、見てみましょう。

絹ででき刺繍も施された下着だった!

この時代に中国で見つかったブラジャーに似た下着は、絹製でした。その上、精巧な刺繍まで施されていたと言います。

なんだか、高級なもののようなイメージがありますね。

形が現在のブラジャーに似ています

古代ギリシャで使われていたブラジャーの役割を果たす布やリボンを巻き付けただけのものとは違い、中国の遼の時代に使われていたブラジャーは、形が現在のブラジャーに似ていました。

今のブラジャーで言うストラップと、それからベルトに当たる部分があったと言います。

この頃からすでに現在のブラジャーに似た物が使われていたと思うと、先人の知恵に驚かされますね。

今の形にかなり近い!1400年ごろに使われていたブラ

2008年に行われた発掘調査によって、オーストリアでも発掘の時期から600年前くらいに使われていた下着が発見されています。つまり、1400年ごろから使われていたブラジャーということになりますね。

オーストリアで見つかったブラジャーの特緒は、ほぼ今のブラジャーと同じ形をしているということです。では、詳しく確認しましょう。

カップもついて現在とほぼ同じ形をしている!

このブラジャーには、カップもちゃんと付いていて、ストラップもあったそうです。

かなり現在の形に近いブラと言えますね。素材には、リネンが使われていました。

このブラジャーはお城で見つかった!

オーストリアで見つかったブラジャーは、お城の中から発見されました。この頃にも、ファッションに気配りをしていた人がいたのかもしれませんね。

現在のブラの原型!フランスのコルスレ・ゴルジェ

現在のブラジャーの原型になったのは、『コルスレ・ゴルジェ』と呼ばれる下着だと言われています。

では、詳しく見ていきましょう。

フランスで発明されたブラジャー『コルスレ・ゴルジェ』

このブラジャーは今のブラジャーとほぼ同じ形をしているため、『コルスレ・ゴルジェ』をブラジャーの原型とする説もあります。

これは、エルミニー・ガドルという人が、フランスで1889年に発明したものです。

コルセットからの解放を目指して発明された!

それまでの時代には、コルセットをすることがはやり、コルセットで体を締め付けることで胸を持ち上げ、デコルテを綺麗に見せようというファッションの流れがありました。

ですが、このコルセットから解放されようという考えが出始め、コルセットに変わる下着を考える必要が出てきました。そこで生まれたのが、『コルスレ・ゴルジェ』です。

特許の取得で直接のルーツとなった!1913年に発明されたブラ

現在のブラジャーの直接のルーツと言われるのは、1913年にアメリカで発明された『バックレス・ブラジャー』という名前のブラジャーです。

では、なぜこのブラジャーが直接のルーツと言われるのか、詳しく確認しましょう。

アメリカで発明された『バックレス・ブラジャー』

現在のブラジャーの直接のルーツとされるのは、『バックレス・ブラジャー』と呼ばれるブラジャーです。

これは、メアリー・フェルプス・ジェイコブという人がアメリカで1913年に発明したものです。

特許を取ったことで直接のルーツと言われるように!

『バックレス・ブラジャー』が現在のブラジャーの直接のルーツと言われるようになったのは、特許を取得したからです。

特許を取得したのは、1914年2月12日のことでした。

それを記念して、2月12日は『ブラジャーの日』と定められています。

ブラジャーの日の目的とは?

一般社団法人日本ボディファッション協会は、2月12日をブラジャーの日と決めています。

「ブラを変える。私が変わる!」をキャッチコピーに、自分のブラジャーを再確認し、ブラジャーを変えることが気分の変化にも通じるという思いが込められているそうです。

毎日身近に着用しているブラジャーも、こうやって歴史を見てみると、あらためていろんな人の考えが詰まっているものなんだなと思いますよね。

身近なものだからこそ、時に意識を向けて見直すことが必要なのかもしれません。

作りはとても簡単!ハンカチとリボンを縫い合わせただけ!

メアリー・フェルプス・ジェイコブさんが考案したブラジャーは、とても簡単な作りをしていました。

というのも、2枚のハンカチとリボンを縫い合わせただけの作りだったからです。

ブラジャーという名前になった理由

ブラジャーという名前は、フランス語のブラシェールを英語読みしたものです。ブラシェールには、もともと袖なしの小さな下着や肩ストラップといった意味合いがあるそうです。

それを元に、メアリー・フェルプス・ジェイコブさんが特許を取得した時にその名前で申請したため、ブラジャーという呼び名で呼ばれるようになりました。

ちなみに、フランスではブラジャーを指すスーティアン・ゴルジュという言葉が別にあるそうです。

日本でブラがはやり始めたのは大正時代から!

では、最後に日本国内ではどのようにしてブラジャーが使われるようになったのか、確認しましょう。

日本では、もともと和装が中心だったため、ブラジャーが広がり始めたのは洋装がはやり始めた大正時代くらいのことです。

ただし、その頃の日本で使われていたブラジャーは、今のブラジャーとは全く違いました。

大正時代には『乳房バンド』などと呼ばれていた!

胸を覆い隠す下着として大正時代に使われていたのはガーゼやさらしで、それを胸に巻いていました。

それらは、『乳房バンド』や『乳バンド』、もう少し後に時代になると『乳おさえ』などと呼ばれていました。かなり直接的な名前ですね。

『乳房バンド』は、大正15年に広告が出されたと言いますから、それくらいの頃から広がったと考えられています。

扱い上は衛生用品!?

実は、『乳房バンド』などの胸を覆い隠す下着は、衛生用品として扱われ、薬局で売られていること多かったそうです。

その他、デパートや小間物屋での販売もされていました。

1949年には服に縫い付けて使うブラパットが発売された!

その後、今度は服に縫い付けて使う商品である『ブラパット』が和江商事から発売されました。和江商事は、ワコールの前身です。

1949年のブラパッド

参照元:ワコール
これは、らせん状にまかれた針金に布をかぶせたもので、胸の形を綺麗に見せることを目的として使われていました。ちょうど女性のファッションが洋装へと移る時期だったので、とてもヒットしました。

それまで使われていた、胸を覆い隠す『乳房バンド』などとは違い、胸の形を整えることに重点が置かれていた点が特徴です。

日本で第一号のブラジャーは1950年に発売

『ブラパット』が発売された次の年、今度は『ブラパット』をカップの内側に入れることを目的としたブラジャーが、和江商事から販売されました。これが、日本で第一号のブラジャーです。

今までのように胸を覆うのではなく、胸の形を整えてファッション性を持たせている点で、現在のブラジャーと同じ概念で作られているというわけです。

ワコールは、戦前にもブラジャー自体はあったことに触れ、胸のふくらみを抑えることや、授乳期の胸を保護することを目的とした衛生用品であったことを説明しています。

そのうえで、初めて発売されたブラジャーの目的を、「洋服を着た時にバストの形をよくし、スルエットを美しく整えるファッション製品」と述べています。

ブラジャーに関する考え方が、ここで変わったことがわかりますね。リンク先のページでは、この頃に作られたブラジャーを見ることもできます。

私達の胸を美しく見せるブラには長い歴史がある!

以上のように、私達の胸を美しく見せるブラは、ギリシャ時代にはもうそのルーツとなるものが使われていたことがわかります。

いつの時代も、女性は胸が動かないよう工夫したり、ブラにファッション性を持たせたりと、胸とそれを保護してくれるものに対する意識があったと言えますね。

それだけ長い間女性がつきあってきたのがブラジャーですから、これをきっかけに今つけているブラジャーは本当に体に合っているのか、今一度見直すのもいいかもいれません!