首から胸元にあるプツプツ…これってイボ?原因と治療法とは
ふと鏡を見たら、首元から胸元にかけてプツプツと褐色の小さなできものが…。シミやニキビだと心配する方もいらっしゃるかと思いますが、実はこれ「イボ」なんだってご存知でしたか?
放っておくと大きくなってしまったり、増えていってしまったりする厄介なイボ。皮膚科での治療が必要になってしまうほど大変なことになる前にきちんとケアして治しましょう!
今回はこの胸元にあるイボの原因と治療法をご紹介いたします。
原因不明!?そもそも首イボって何なの?
胸元にできるイボ。どんな種類があって、どうしてできるんでしょうか?イボの種類と原因をチェックしましょう。
胸元のイボは首イボ!小さなものから大きなものまである
首元から胸元にかけてできるイボは、通称「首イボ」と呼ばれ、その大きさから4つに区分されます。
イラストでは3種類の首イボを紹介します。
種類 | 大きさ | 状態 |
---|---|---|
アクロコルドン | とても小さい | 小さくプツプツとした形状で盛り上がりも少ない褐色のイボ |
スキンタッグ | 小さい | アクロコルドンよりも大きくて皮膚より少し突出しているイボ |
軟性線維種 | 大きい | 直径5mmを超える大きなイボで、皮膚からかなり突出している |
懸垂性線維種 | とても大きい | 軟性線維種よりもイボが大きく、根元からぶらさがるような形状のもの |
鏡を見て気付く程度、もしくは手で丁寧に触ってざらっとした感触になる程度のものが、アクロコルドンですね。アクロコルドンは皮膚の角質が増殖してできるイボです。
その角質の塊の粒が更に肥大化したものがスキンタッグです。スキンタッグが更に肥大化したのが軟性線維種です。軟性線維種が更に肥大化し垂れ下がったものが懸垂性線維種です。
首イボの正体は「角質粒(かくしつりゅう)」?
首イボは、ウィルス性のものもありますが、ほとんどの場合は角質と脂肪とが混ざってできた「角質粒(かくしつりゅう)」というものです。
角質粒自体は、何らかの原因で皮膚の角質が排出されずに溜まり、脂肪と角質とが混ざって隆起しているものを指します。
角質の排出が正常に行われていないということは、肌のターンオーバーが正常に行われていないということです。
ターンオーバーとは、肌の細胞が肌の奥の方から生まれ変わっていくサイクルのことを指します。20代の人で正常であれば、28日前後で肌は生まれ変わり、古い肌の細胞である角質もそのサイクルに合わせて、剥がれ落ちていきます。
ターンオーバーに何らかの異常があると、肌表面の角質細胞が古くなっても剥がれ落ちなかったり、未熟な角質細胞が肌表面に出たりするために、垢や角栓、角質粒の元になったりと、肌トラブルを起こしやすい状態になります。
角質粒である首イボができている状態は、すなわち肌でターンオーバーの異常が起きてしまった、あるいは起こり続けているという状態なんですね。
首イボの原因は明確には不明!老化や紫外線の影響も…
首イボはそのほとんどが角質粒であることは分かっていますが、実はこの首イボができるはっきりとした原因は、明確には解明されていません。
体にできるイボの原因はウィルス性の物と非感染性のものに分けられますが、アクロコルドンをはじめとした首イボについては非感染性のものがほとんどだといわれています。
首イボの原因として推測されているのは次の5つです。
- 老化
- 紫外線
- アクセサリー等の摩擦など肌ストレス
- 皮膚の柔らかさ
- 肥満
30代以降の女性に多く発症し、60代の女性ではアクロコルドンは必ず体のどこかにあるといっていい状態になります。
首元にできやすい理由としては、皮膚が柔らかいことと、紫外線の影響が強いといわれています。年齢を重ねるとできやすくなるのは、皮膚の老化によるものだといわれています。
どちらも、皮膚の組織が劣化したために正常に細胞分裂が行われず、過剰に角質が増殖した結果にできるものです。
60代以降の更年期の女性以外にも、肥満女性にも多く発症します。また、衣服やアクセサリーによる摩擦による刺激でもできやすいといわれています。
このようにはっきりとした原因は解明されていませんが、老化、紫外線の影響、肌へのストレスなどの生活習慣を含めた複合要素でターンオーバーが狂った結果、首イボはできるとされています。
でもそのターンオーバーが崩れる理由は、色々で原因不明?フーン、首イボって難しいんだねえ。
家庭での治療はスキンケアによる予防がメイン!
厄介な首イボですが、まずは家でできる治療方法を確認していきましょう。ものによっては、少し高くつくスキンケアもありますが、継続的にクリニックにかかるよりは安く済むかもしれませんよ。
ごく小さな首イボはスキンケアなどでの予防が基本
家庭での治療の場合、実は現時点で有効な塗り薬は現在開発されていないため、スキンケアでターンオーバー異常の予防がメインの対策となります。
首イボは角質の塊であるため、首元から胸元を定期的に角質ピーリングすることにより、目立たなくなることもありますが、この方法だけでは完全に治療することはできません。
首イボだからと、イボ薬を塗ろうという方もいらっしゃるかと思いますが、首元のような皮膚の薄いところへの一般的なイボ薬の塗布は刺激が強すぎるのと、非ウィルス性のものが多い首イボに必ずしも効くとは限りません。
むしろ強すぎるイボ薬のせいで、肌トラブルが起きる可能性が高いです。トラブルの可能性が高いのに治る率は低いため、イボ薬の使用は避けた方が良いでしょう。
このため家庭での首イボ対策は、治療よりも予防がメインになります。
全ての首イボに通ずるスキンケアが基本の予防策は?
アクロコルドンの予防法としては次の4つになります。
- はと麦(ヨクイニン)を飲む
- 首元、胸元も日焼け止めを塗る
- 首元、胸元も保湿など顔と同等のスキンケアを行う
- アクセサリー類は極力つけなず肌への刺激を減らす
継続的に飲み続けることで、小さな首イボであるアクロコルドンができにくくなります。また、人によってははと麦のエキスの服用により、アクロコルドンがなくなったという人もいます。
はと麦(ヨクイニン)エキスは、ウィルス性のイボの治療のために皮膚科でよく処方される薬ですが、一般的には非ウィルス性の首イボにも有効だとされています。
首イボはターンオーバーの異常が原因ですが、はと麦にはターンオーバーの異常を正して、正常な状態へ導く力があると言われています。近年の基礎化粧品に「ヨクイニンエキス配合」の美容液が増えているのも、ターンオーバーの正常化を目的としたものですね。
しかしはと麦は味に癖がある上、エキスについては高額になるため、継続的な服用が難しい場合は日焼け止めや保湿など、日常のスキンケアがメインとなるでしょう。
これらの予防法は、大きさに関わらず首イボ全てに共通の予防法となります。
予防・治療もできる!?杏仁オイルの効果とは?
有効な塗り薬がないと言われている中、首元のスキンケアとして、首イボの予防にも、治療にも役立つものが、杏仁オイル(アプリコットオイル)です。
杏仁オイルは、杏子(あんず)の種子から絞り出したオイルのことで、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸という5種類の肌にとても良い成分が含まれたオイルです。
これらの成分は、保湿や肌の若々しさを保つのに有効で、首元だけでなく全身の肌に使えるオイルで、しっとりするのにべたつかない使用感が特徴です。
杏仁オイルは肌の調子を整えるため、ターンオーバーを正常化して、これからできる首イボの予防に多いに役立ちます。
また、実は既にできている首イボにも有効であるとの報告が、多数上がっています。
杏仁オイルの塗布を長期に渡って行う事によって、最短では2週間程度から小さな首イボがポロポロと取れてくるといいます。
少し大きめの首イボについては、元の白色から茶色っぽい色になった後に、カサブタのようにポロッと外れてくるのです。
これは、ターンオーバーが正常化されることによって、今まで剥がれ落ちず排出されなかった角質が、正常に剥がれ落ちていくことによって、首イボも除去されていくのだと思われます。
アプリコットオイルの効果的な使い方は?
杏仁オイルの効果的な使い方は、次の2ステップです。
2.蒸しタオルで、首元を温めて血行を良くする。
血流を良くすることで、新陳代謝を促し、オイルの効果を高めることができます。お風呂の時に行うと血行が良い状態の上、蒸しタオルの用意も簡単なので、楽にこのケアができますよ。
首イボの原因が、ターンオーバーの異常から来ているので、最短では2週間で結果が出始めるとは言っても、30代、40代と年齢を重ねるごとにターンオーバーの周期は40日50日と長引いてきますから、杏仁オイルでの結果が出るまでには、時間がかかることも考えられます。
効果的なやり方は、毎日一回ずつ、確実にケアを続けていくということですね。
首イボは体質によってできやすい人とできにくい人がいるのですが、クリニックで治療するとなると、首イボができやすい人は治療費が次々とかかって高額になります。
杏仁オイルは、実は少し高価なのですが、首イボができやすい人にとっては予防と治療が同時にできる杏仁オイルの方が、クリニックでの治療よりもトータルコストは安くなるかもしれません。
スキンタッグは糸で縛ったりハサミで切ったりする!?
アクロコルドンより大きく、つまめるサイズの首イボであるスキンタッグの家庭での治療法としては、はさみを使う方法と、糸を使う方法があります。
しかし、このハサミを使った方法は少量ではありますが出血する場合もあり、切除部分から菌が侵入したり、肌トラブルの原因となりかねません。一応除去はできるようですが、トラブルの元になることもあるのでお気をつけ下さい。
同じハサミを使用した切除方法をクリニックで保険治療として安全に実施できるので、ハサミで切りたい場合はクリニックでの治療をお勧めします。もしどうしても家庭で実施したい場合は、必ず消毒しましょう。
また糸を使う方法では、スキンタッグの根元を髪の毛や細い糸できつく縛るという方法をとります。スキンタッグの根元をきつくしばってそのままにしておくと数日でかさぶたのようにぽろりととれます。こちらは出血の可能性は低い治療法になります。
糸で縛る方法は、首イボの大きさが小さければ、痕に残りにくい処置法です。ただし、出血の可能性が低いだけで、こちらも出血したり傷口に雑菌が入ったりするという危険は必ずあるということを、心に留めておいてください。
でも、スキンケア以外の治療方法って、家ではできないんですか?
でも肌トラブル起こすことだってあるわけだし、危険なはさみとかはお医者さんにまかせて、自分ではしっかりスキンケアしとくのが一番安全で、綺麗な首元胸元への近道なんじゃないかしら?
手におえない首イボはクリニックへ!治療法は?
アクロコルドンやスキンタッグのような小さな首イボは家庭治療である程度減らしたり、目立たなくしたりすることも可能ですが、クリニックでの治療ももちろん可能です。
また、スキンタッグ以上に大きい軟性線維腫になると、クリニック以外での治療が難しくなります。治療法ごとに、見ていきましょう。
炭酸ガスレーザーは保険適用外の治療!
首イボの大きさに関わらず、幅広く首イボを治療できるのが炭酸ガスレーザーによる処置です。
これは炭酸ガスのレーザーで、首イボを一瞬で蒸発させて焼ききるという施術になります。メスを使わず、レーザーなので治療時間が短い事が特徴の治療方法です。
ただし、痕の残り方については、処置の初めは皮膚が少し凹んだような状態になります。そして徐々に盛り上がり、平らになって綺麗になるというものですから、処置したその日からすぐに綺麗!という訳ではない上、一度で焼き切れない場合も多いので処置回数が多くなることも注意が必要です。
また、レーザー照射した部分については日焼けしやすくなるので、処置を行った後は、新しい首イボ発生抑止も含め、首元、胸元に日焼け止めをしっかり塗るのを忘れないようにしましょう。
炭酸ガスレーザーの使用は、小さくて量の多い首イボの除去には施術費用かさんでしまいますが、大きい首イボには施術後時間が経てばとても綺麗になるので、とても有効な施術方法です。
ちなみに炭酸ガスレーザーは保険が適用されない治療ですから、治療費が高額になる場合もあります。
保険適用できる!糸やはさみを使った除去法
家庭治療と全く同じ方法ではありますが、クリニックでも次の2つの方法でスキンタッグ程度の小さな首イボを除去することができます。
- イボの根本を糸でしばって除去する
- イボを根本からはさみで除去する
いずれの施術方法も、保険がきくので施術費用を抑えられる施術になります。
はさみを使った処置は、イボをはさみで切り取り、化膿止めの軟膏を塗っておく施術です。これは保険適用の治療になります。
痛みが少なく、痕にも残りにくいというメリットがあります。
糸を使った除去法は、イボの根本を細い糸で縛り、数日そのままで過ごし、自然に脱落するのを待つという方法です。保険適用できます。
ハサミと同様、痛みが少ないことがメリットで、跡にも残りにくく、またハサミよりも出血する可能性が低い施術です。
これら2つの除去方法は、実は家庭でも簡単にできる方法ではありますが、前述のとおり、個人での施術はトラブルの元になりかねないので、この方法を使う場合には、クリニックに任せた方が安心でしょう。
以下は、はさみを使ってイボを除去した例です。施術を選ぶ際の参考にしてみてくださいね。ごくごくわずかですが出血もありますから、苦手な方は閲覧に注意してください。
ポロッと取れる?「液体窒素」でイボの凍結!
スキンタッグ程度の小さなイボを除去する方法として、「液体窒素」を用いる方法もあります。
液体窒素での治療法は、次の通りです。
液体窒素での治療は、液体窒素を画像のような綿棒などでイボに直接塗りつけ、スキンタッグを凍結します。液体窒素を当てた場所は水ぶくれとなり、凍結されたスキンタッグはかさぶたとなり、数日中にかさぶたが取れてなくなるというものです。
処置時間は5分程度と短く済ます事ができ、この治療法は保険適用の治療なので、比較的安価でスキンタッグの治療を行なうことができます。
一見、治療費も安く、施術時間も短い液体窒素の治療法は万能み見えますが、この治療方法は液体窒素で皮膚組織を殺す作業になるので、処置時に多少の痛みがあります。また、施術後に色素沈着をおこしやすいので、処置後のスキンケアが重要になります。
治療しても、放置していてば首元が綺麗にならないので、処置後のケアも含めて、今後の予防のためにもスキンケアは欠かせないんですね。
大きすぎるイボはメスか炭酸ガスレーザーで!
軟性線維種と懸垂性線維種のように、5mm以上に垂れ下がるような大きすぎる首イボは、家庭での治療や対処は難しいです。
イボをそれ以上大きくしないために、ヨクイニンの摂取やスキンケアの実施は有効ではありますが、ヨクイニンやスキンケアだけで、大きいイボを治すことは不可能です。
このためクリニックにおける大きすぎるイボの治療は、次の2種です。
- メスを使った除去手術
- 炭酸ガスレーザーによる除去手術
炭酸ガスレーザーの方法は前述の通りなので、メスを使った方法を解説します。
メスを使用しての除去手術は、局部麻酔をした上でイボを切除し、傷跡を縫合、またはレーザーで焼いて傷跡を縮める手術です。保険適用の治療となるため、クリニックでの大きめのイボの治療としてはメインとなるでしょう。
ただし、イボは綺麗に除去することができますが、縫合痕が残りやすいというデメリットがあります。
人目につきやすい胸元ですから、クリニックで首イボの治療をする場合には、金銭に余裕があれば炭酸ガスレーザーを選択したいですね。
いずれの手術の場合も、痛みや出血は少ないものですが、他の病気との兼ね合いで血液をサラサラにする薬を服用している場合には、出血多量にもなりかねないため、手術をする際には主治医との相談が必要です。
次の動画は、メスでのイボを除去した後にレーザーで傷跡を処置する施術例です。こちらもほんの少しではありますが、出血の映像がありますので、苦手な方はご注意ください。
炭酸ガスレーザーやメスや糸、ハサミ、液体窒素とか色々あるけど、どの施術も受けた瞬間に、即綺麗!って訳じゃないから、そこは注意することね。
首いぼはスキンケアで予防が大事!治療は皮膚科へ!
以上、首イボの原因と治療法を解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
治療の基本はスキンケアによる予防をメインとし、大きなイボの治療にはクリニックの利用が安全です。
明確な原因は不明で、複合要素で老化の影響が強い首イボですが、イボに効果のあるヨクインイン(はと麦)の摂取や、杏仁オイルの塗布、保湿、日焼け止めなどのスキンケア次第で発生を抑えることは可能です。
せっかく首イボをクリニックなどで綺麗に治療しても、スキンケア次第を怠れば再び首イボができてしまう可能性は高いです。治療を行った後は、しっかりとスキンケアを心がけ、再発防止に努めましょう。
首元のスキンケアは怠りがちですが、基礎化粧品による保湿だけでなく、紫外線対策も大事な首イボ対策の一つです。
すでにできてしまったイボは小さめのものなら、杏仁オイルで取れますが、大きすぎる首イボを綺麗に治したいときは、少し値がはるけど、クリニックに行って、炭酸ガスレーザーを使うといいですよ。