乳腺炎の予防や対処法とは?マッサージから病院での治療まで!
何だか胸が痛くて、硬いしこりがある、熱も出てきた…。そんな症状が見られたら、それは乳腺炎かもしれません。乳腺炎は、授乳中に多いものの、授乳経験のない人にも起こり得る乳房に関するトラブルのひとつです。
乳腺炎の症状は辛いものも少なくないですから、ならないに越したことはありませんし、もしも乳腺炎になったら、できるだけ早く治したいものです。そのためにも、あらかじめ乳腺炎の予防法や対処法について知識を持っておくと安心ですよね。
ここでは、自分でもできる乳腺炎の予防方法や、乳腺炎になってしまった時のセルフケアから病院での治療方法まで、幅広くご紹介します。是非、参考にしてみてくださいね。
乳腺炎にならないための工夫とは?食事の内容は乳腺炎と関係ない!?
乳腺炎はいったん罹ってしまうと慢性化することもないとは言えませんので、ならないように予防するのがベストです。そこで、まずは乳腺炎の予防法からお話していきます。
授乳期の急性乳腺炎を防ぐには?
出産のすぐ後によくある急性うっ滞性乳腺炎は、母乳が乳房の中に溜まってしまうことに起因します。(この辺りについて詳しくはこちら↓↓)
なので、母乳の通りを良くしておくことが予防法になります。そのための対策としては、以下のようなものがあります。
- 妊娠中からマッサージをしておく
- 赤ちゃんにできるだけ多く吸わせる
- 赤ちゃんにいろんな方向から吸わせる
- 水分を意識して摂る
- バランスの良い食事をする
- 身体を冷やさない
自分でできる予防対策だけでも、こんなにあります。順番に詳しくご説明していきます。
乳首やバストのマッサージ
乳首を柔らかく伸びやすい状態にしておき、バストも柔らかくマッサージしておくと、赤ちゃんにとって飲みやすくなるため、飲み残し、つまり母乳の溜まりを予防することができます。
乳首マッサージは、こんな手順で行います。
乳首マッサージは妊娠後期から始めることができますが、体調によってはやらない方が良いこともあるため、必ず医師や助産師さんに相談してから行ってください。
バスト全体のマッサージもおすすめです。こちらも妊娠中からできますが、出産後には授乳の直前にもやっておくと、赤ちゃんが飲みやすいおっぱいになります。
赤ちゃんに飲ませるときの工夫
出産直後は母乳の出がじゅうぶんではなくても、できるだけ頻回に赤ちゃんに乳首を咥えさせることがとても大切です。そうすることで母乳育児に必要なホルモンの分泌が促進され、母乳の出が良くなります。また、赤ちゃんにとっても母乳を飲む練習になります。
そうすることで、母乳の分泌量と赤ちゃんの哺乳量とのバランスを、早く調整していくことができますので、母乳の作り過ぎや飲み残しによる乳腺の詰まりを防ぐことができます。
また、いつも同じ姿勢で飲ませていると、同じ乳腺の母乳ばかり飲むことになり、他の部分に飲み残しができやすくなってしまいます。なので、一般的な横抱き以外にも、いろんな抱き方で授乳するようにすると、バスト全体からまんべんなく飲ませることができます。
母乳が詰まって固い部分があるときは、その方向に赤ちゃんのアゴが来るように抱いて飲ませると効果的です。
乳腺炎を予防する食事とは?
「お餅を食べるとおっぱいが詰まる」「甘いものや脂肪分はNG」などというお話は、よく耳にしますよね。実際に、授乳中のママの中には食事制限をしている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、産院やプロの助産師さんの中にもこのような指導をするところもあるのですが、一方で何を食べても乳腺炎にはならない人もいます。もちろん、バランスの取れた食事を意識することは大切なことです。
また、授乳中は、母乳のために体内の水分を大量に取られてしまいます。便秘予防のためにも水分は意識して摂りましょう。その際、身体を冷やさないよう夏でも常温の水やお茶にすることをおすすめします。
私の友達でも授乳中には甘いものや揚げ物などを控えている子がいましたが、そんなに厳密に食事制限をしなくても大丈夫なのでしょうか?
つまり、たくさん食べて摂取カロリーが増えればその分母乳の産出量も増えるんだけど、赤ちゃんが飲む量とバランスが取れていれば、食べても大丈夫ということよ。
「これさえ食べてれば大丈夫」とか、逆に「これは絶対ダメ!」という食材はないってことね。
葛根湯もおすすめ!乳腺炎かな?と思ったら試してみたいセルフケア
前章では、急性うっ滞性乳腺炎の予防法をご紹介してきました。でも、気を付けていても母乳が詰まったり、バストの痛みや強い張りを感じたりと、乳腺炎の症状が出てしまうことも少なくありません。
そこで次に、軽い乳腺炎かもしれないと思ったらすぐに試せる対処法についてご紹介します。(乳腺炎の症状については、こちらをご参照ください↓↓
軽い乳腺炎になった時の対処法
急性うっ滞性乳腺炎の症状があらわれたら、まずは以下のようなセルフケアを試してみてください。
- マッサージや授乳方法の工夫
- キャベツ湿布
- 葛根湯
- 乳首に傷があるときは、クリームや保護器などを使う
母乳のつまりは、とにかく赤ちゃんに吸ってもらうのが一番の解決法です。
まずは、予防法のところでもご紹介した乳首や乳房のマッサージを試し、しこりの部分に赤ちゃんのアゴが来るように抱き、しこりをさすりながら授乳してみてください。スーッとしこりがほぐれるような感覚があれば大丈夫です。
それでもダメな場合は、次からご紹介する方法をお試しください。
キャベツ湿布
乳腺炎の初期には、バスト全体がかたくなって熱を持つことも多いものです。そんなときは、熱を取り去る効果の高いキャベツ湿布がおすすめです。
冷蔵庫で冷やしたキャベツの葉を一枚はがし、胸に湿布のように貼るだけです。胸を撫でるように、しこりのある時はそこを丹念にマッサージするのもオススメです。そうすることによって、詰まりが緩和され、熱も取ってくれるのです。
葛根湯
風邪薬の一種である葛根湯は、実は乳腺炎にも効果があるのです。
乳腺炎は、体全体が冷え、血流が悪くなり、母乳が乳腺の中に詰まることも一因なのですが、葛根湯には体内の血流を良くする働きがありますので、乳腺炎の原因となっている母乳の詰まりを改善する効果があるのです。
葛根湯は授乳中でも病院で処方されるので、赤ちゃんへの影響もそれほど気にしなくてもよいでしょう。念のために、授乳直後に服用すると、赤ちゃんへの影響を最小限にできます。ただし、しばらく服用しても改善が無い場合は専門家の指導を受けましょう。
傷がついたらすぐに保護しよう
強く吸われ過ぎたり、赤ちゃんに噛まれたりして乳頭に傷ができてしまうのも、よくあることです。
傷を放置するとそこから細菌が入って急性化膿性乳腺炎を引き起こすこともありますので、傷を保護することが乳腺炎の予防になります。
乳頭の傷には、市販の馬油や羊の油を塗るとよいでしょう。塗った上からラップを5センチ程度に切ってパックするとより効果的です。馬油や羊油は赤ちゃんの口に入っても大丈夫なので、わざわざ拭き取らなくても、そのまま授乳することができます。
また、市販の乳頭保護器を使うのも悪くない方法です。乳腺炎の悪化予防には授乳を続けることが大事なので、授乳中の乳首の痛みを軽減できる保護器はきっと役に立つはずです。
それにしても、キャベツ湿布っておもしろいね!冷却シートでもいいらしいけど、キャベツの葉の方が広い範囲を一挙にカバーできて便利そう!
とにかく、悪化してしまう前に、うっ滞性乳腺炎の段階であらゆる対策を取っておくことが大事なんだって!
しこりが消えない時は悪化する前に病院へ!どんな治療があるの?
ここまで軽い乳腺炎へのセルフケアをご紹介しましたが、自分の力ではどうにもならないこともあり得ます。そんなときは、遠慮しないで助産師さんや医師の力を借りましょう。
特に、高熱や膿が出るなど急性化膿性乳腺炎の症状があるときは、必ず病院へ行ってください。では、病院での治療には、どのような方法があるのか見ていきましょう。
助産師さんのマッサージ
助産師さんに揉みほぐしてもらうと、母乳の詰まりが取れてカチカチだった乳房やしこりがふんわり柔らかいバストに戻ります。なので、電話などで助産師さんに母乳ケアを受けたいことを伝えてみましょう。
もちろん、出産した病院でかまいませんが、里帰り出産から自宅に戻った場合など、出産した病院に通えない人は、近所の乳腺外来やおっぱいケアをしてくれる助産院へ行くのもおすすめです。
妊娠中に、助産施設や乳腺外来がどこにあるのか、どんな人を引き受けてくれるのかなどを調べておくとよいですね。
薬による治療
急性化膿性乳腺炎になっている場合は、セルフケアや助産施設では対処できません。必ず医師のいる病院で治療を受けましょう。
第一に考えられる治療法は、薬物治療です。
- 抗生物質
- 消炎鎮痛剤
- 漢方
- 母乳分泌抑制剤
これらの薬が症状や程度に応じて処方されますので、医師の指示通りにきちんと服用しましょう。化膿性乳腺炎になってしまった場合、授乳をいったん中止するよう指示されることも少なくないので、搾乳の必要性なども含めて医師の説明をよく聞きましょう。
外科的処置による治療
まずは薬で様子を見ることが多いですが、膿のかたまりができてしまっている場合は、外科的な処置が必要となります。
針を刺して膿を出す治療法である穿刺排膿を行い、内部を洗浄してから抗生物質をそこに注入するという方法での治療を行います。
それでも回復が見込めない場合、膿瘍ができている部分の皮膚を切開し、膿を出すための外科的手術をすすめられます。切開法は2種類あり、乳輪切開法(乳輪の周りを切開する)、輪切り切開法(乳輪から離れた部分を切開する)のどちらかで排膿します。
膿を排出する間は激しい痛みが伴うこともありますが、短時間で確かな効果が認められ、高い確率で再発を防ぐことができます。
膿を出す外科的処置をした後にも、抗生物質などの内服薬が出されますので、これもきちんと服用してください。
専門家によるマッサージや、薬、外科的治療などいろんな方法があるので、すぐ楽になれそうです。
場合によっては切開して膿を出すなんて怖いですけど、これをきちんとしておかないと慢性化することもあるので、頑張って乗り越えましょう!
慢性乳腺炎にも予防法はある!陥没乳頭の方はご注意を!
ここまでは、急性の乳腺炎の予防法や治療法についてお話してきましたが、最後に慢性乳腺炎の予防法や治療方法についてもご紹介しておきます。慢性の乳腺炎は授乳とは関係なく発症しますので、知っておくと役に立つかもしれません。
慢性乳腺炎の予防法
慢性の乳腺炎は、以下のような対策を取ることが予防につながります。
- 急性化膿性乳腺炎をきちんと治しておく
- 免疫力を高く保つ
- 肥満を改善する
- 禁煙する
- 陥没乳頭を改善しておく
基本的には急性の乳腺炎と慢性乳腺炎の原因は別なのですが、急性化膿性乳腺炎をきちんと治しておかないと慢性化してしまうことがあります。なので、授乳中に急性の乳腺炎になった方は、しっかりと治療しておくことが慢性乳腺炎の予防になります。
また、肉芽腫性乳腺炎は自己免疫の異常が原因ではないかと言われています。したがって、生活習慣を整えてストレスをうまく発散するなど、免疫力を高めるよう心掛けるのも有効な予防法です。
さらに、慢性乳腺炎の一種である乳輪下膿瘍は、タバコや肥満などがリスク要因となるとも言われているので、禁煙や適正体重に戻すためのダイエットも良いですね。
慢性乳腺炎は陥没乳頭の女性に多いため、陥没乳頭を改善することも乳腺炎の予防になります。改善方法については、こちらの記事を参考にしてくださいね。
慢性乳腺炎の治療方法
また、肉芽腫性乳腺炎については、抗生物質は効果が見られないケースが多く、ステロイド剤が処方されます。
ステロイドに不安を覚える女性もいらっしゃるかもしれませんが、勝手に中止したりすると治らないばかりか悪化することもあります。なので、肉芽腫性乳腺炎と診断された方は、医師の指示通りにステロイド治療を続けることをおすすめします。
肥満やタバコ、生活習慣の乱れなんかも原因になるみたいだから、だらけた生活を立て直すことが、同時に慢性乳腺炎の予防にもなるね!
まずは食生活を見直して、ダイエットしてみる!
つらい乳腺炎は赤ちゃんのためにも予防と早めの治療が大切!
いかがでしたか?乳腺炎の予防法と自分でできる対策、そして専門的な治療法についてお分かりいただけたでしょうか。
肝心なのは、妊娠中から準備をはじめ、出産後も予防に努めることです。そして、もし乳腺炎を発症してしまった場合は、できる限り早く治療するように心がけることです。
乳腺炎を放置すると、体調が優れなくなるばかりか、育ち盛りの赤ちゃんへ母乳をあげることすら叶わなくなってしまいます。
痛みを伴った授乳はとてもつらいですから、初期段階での対処や早めの治療を心がけましょう。それがお母さん自身のためになるだけでなく、赤ちゃんのためにもなりますよ。
それでも乳腺炎になってしまったら、母乳外来や病院を受診すると安心よ。きちんと治さないと慢性乳腺炎の原因になることもあるから、育児で大変だけど何とか時間を見つけて病院で治療を受けてね。
授乳してない女性でもかかる慢性乳腺炎もあるから、生活習慣を整えるなど、普段からカラダに良い生活を心がけましょうね!