本当に怖いのは骨転移?知っておくべき、乳癌の転移や再発とは
身体の中で女性特有の器官といえば、乳房です。乳房は女性のシンボルとして、肉体的にも精神的にも重要なうえに、母乳を分泌して赤ちゃんを育てるという面でもまた、大切な役割を担います。
そんな大切な乳房を失う恐れのある病気が、乳癌です。女性にとって乳癌はとても怖いものですが、その本当の恐ろしさは骨転移であるとも言われています。
乳がんについての数あるトピックの中でも、今回はそんな転移や再発について詳しく掘り下げていきます。この辺りについては何だか怖いイメージを抱く女性も多いかと思いますが、自分自身を守るためにもぜひ知っておいてくださいね。
乳がんは他人事じゃない!小林麻央さんの乳がんから学ぼう
2017年6月に乳がんで死去したフリーアナウンサーの小林麻央さんは、ブログのなかで医師から胸に腫瘍があることを告げられても、まさか乳がんだとは思わなかったと書いています。
小林麻央さんに限らず、癌を他人事のように感じてしまう人は多いと思います。でも、乳がんになるリスクは誰にでもあります。乳がんから命を守るためにはどうすべきか、小林麻央さんの乳がんから学んでいきましょう。
乳癌が見つかった経緯
麻央さんの乳がんが見つかるまでの経緯をまとめて見てみましょう。
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再検査のマンモグラフィーで陰性と伝えられ、念のため半年後の再検査をすすめられる
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マンモグラフィーから8ヶ月後に麻央さん自身が胸のしこりに気づく
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超音波検査で乳がんの脇への転移が発見される
麻央さんが31歳のとき、夫である市川海老蔵さんの付き添いというくらいの軽い気持ちで受けた人間ドッグの超音波検査で、胸に腫瘍が見付かっています。
しかし、授乳中のしこりということもあり、再検査のマンモグラフィー検査では「癌を疑うようなものではない」との医師による判断がありました。そして、麻央さんは別段がんへの不安もなく、日々の忙しさにまぎれて半年後にすすめられた再検査を受けなかったのです。
しかし、マンモグラフィーから8か月度、ふと触れた胸のしこりが気になりすぐに病院へ行くと、問題は胸とは別の脇のしこりであり、同時に乳がんの診断が下りたのです。
麻央さんのケースから学ぶこと
最初に腫瘍が見つかったのは、付き添いで行った人間ドッグでした。当時、麻央さんは3時間おきに授乳をしている状況で、海老蔵さんとふたりで出かけた人間ドッグを「久しぶりのデート気分」で楽しんでいたといいます。
ここで見つかった腫瘍が乳がんのはじまりだったのですから、この人間ドッグを受けた意味は大きいものです。
付き添いでも、軽い気持ちでも何でもいいから、定期的に健康診断を受けておくことが大切だということが分かります。
また、マンモグラフィーのあと、半年後の再検査を勧められたのに、8か月後まで受けなかったことで麻央さんは自分を責めたといいます。
この2か月で、どれほど乳がんが進行したのかは、今となっては分かりません。
遺伝子検査で自分のかかりやすい病気を確認しておこう
しかし注意してほしいのが、しこりを触って誰もが簡単に気付けるだろうと思わないでほしいということです。しこりがあるかも?と疑いが出たとしても、麻央さんのようにまさか自分が癌になんてと考える人は大勢います。
そこでおすすめしたいのが、自分がかかりやすい病気について事前に確認しておき、何か疑いがあったときにすぐ対応できるよう準備しておくことです。
自分がかかりやすい病気は、遺伝子検査で調べることができます。遺伝子検査はDNA検査とも呼ばれ、唾液から各個人のDNAを解析して生まれ持った体質や病気のなりやすさについて調べる検査です。
人間の病気は、遺伝的なものと生活習慣の両方が影響して発症すると言われています。遺伝子検査で自分がかかりやすい病気について学び、生活習慣の改善を行うことで、健康リスクを可能な限り下げることができます。
胸の腫瘍など少しでも疑いが出たときに、自分は乳癌にかかりやすい体質だと認識していれば、より真剣に対応することができます。
とくに自分だけではなく大切な家族のためにも遺伝子検査で予めかかりやすい病気について理解を深め、もしものときのために備えておくことが重要です。
最近は医療技術も進歩し、遺伝子検査がとても身近なものになりましたので、今のうちから自分の身体について調べておくのも良いかもしれませんね。
マンモグラフィーでは陰性と言われても安心しすぎることなく、半年後と言われたらやはりその通りの時期に再検査を受けた方がいいのですね。
麻央さんの死は悲しいですが、遺してくれた教訓を生かして、定期的な乳がん検診と医師の指示通りの再検査を続けていきたいですね。
乳がんは転移しやすい!?どのように転移するの?
小林麻央さんが乳がんだと診断された時、すでに脇のリンパ節に転移があり、その後は骨や肺にも転移しています。こんなふうに、がんの転移はよく聞く言葉ですが、この際ですから乳がんの転移がどのようなものなのか、詳しく知っておきましょう。
増殖力の強いがん細胞
詳しくはこちらの記事にまとめてありますが、乳がんには転移の有無によって「非浸潤ガン」と「浸潤ガン」があります。乳腺組織の外側にまでがん細胞が広がっているのが浸潤ガン、すなわち転移のある乳がんです。
乳管の中だけにとどまっていた乳がんが膜をやぶって乳管の外に飛び出してしまい、リンパ管や血管の流れに乗って全身へと散らばり、そこでもがん細胞の増殖を繰り返すことが転移です。
癌細胞は、健康な細胞よりもずっと増殖力が強いといわれています。ひとたび根付いてしまったがん細胞は、周囲の健康な細胞を栄養分にしてどんどん成長していってしまいます。
乳がんの場合は、最初は乳管の中にいたがん細胞も、乳管の膜の細胞も破壊して栄養にしながら広がり、リンパや血管に乗って全身へと転移してしまうのです。
乳がんの転移とは
どのがんでも転移のリスクはありますが、乳がんは転移しやすいタイプのガンとして知られています。
先にも触れたように、がんが転移するのはリンパ管や血管などに乗って、全身にがん細胞が移動してしまうからです。したがって、近くに大きな血管やリンパ管がある部位にできたガンは、離れた場所にある臓器に転移する「遠隔転移」も起こしやすいのです。
そして、乳がんの場合、乳房のすぐそばに腋窩リンパ節という大きなリンパや血管があるため、全身に転移しやすいというわけです。
乳がんが転移しやすい場所
乳がんは、以下のような場所に転移しやすいと言われています。
- 腋窩リンパ
- 骨
- 肺
- 肝臓
- 脳
このように、全身に転移し得る乳がんですが、転移した先が他臓器であっても乳がんは乳がんです。たとえば乳がんが肺に転移した場合、それは「肺がん」ではなく「転移性乳がん」ととらえます。
転移した場合の治療法
乳がんからの遠隔転移が認められた場合、ひとつの転移先を手術しても他の部分にも散らばっている可能性があるため、原則として転移先の手術は行われません。
転移した場合も最初に乳房内に発生した乳がんと同じ性質を持ったがんですので、乳がんと同じ治療法となります。それについては、ぜひこちらの記事をお読みください。
しかし、骨転移などで痛みが出る場合は痛み止め等による治療も行われます。また、まれに脳や肺などどこかひとつだけの転移だと考えられる場合は、手術が適用になることもあります。医師の説明をよく聞いて、最適な治療方法を選びましょう。
その中でも一番多いのが、骨転移なんだってね。
骨転移したら痛みや骨折なんかの症状が出るみたいだけど、一度乳がんをやったらちょっとした痛みでも骨転移なんじゃないかって、何だかビクビクしてしまいそう…。
いったん乳がんになったら、手術して治ってからも定期的に検診を受けることになるから、その時まではよほど気になる症状がない限り、のんびり楽しく過ごすことも大切よ。
ゆったりした気分で過ごせば免疫力もアップするし、かえってガンを遠ざけていくことにもつながるわよ!
乳がんの再発とはどういうこと?転移とはどう違うの?
転移と同様、がんについてよく聞く言葉に「再発」というのもあります。ここからは、転移との違いも含めて、再発について見ていきましょう。
乳がんの再発とは
乳がんが見つかった場合、基本的には病巣である乳房の手術が行われます。その際、転移や再発を予防するため、がんの部分だけでなくしこりの周囲まであわせて大きめに切りとります。
しかし、すでに浸潤ガンとなっていて、目に見えないほどの小さな転移が起きていた場合、手術時に切除し切れないこともあります。そうなると、手術で治ったと思っていても、その小さなガン細胞が増殖し、再び同じ乳房にがんができることがあります。
このように、元々がんがあったところと同じ場所に再びがんができることを、「再発」といいます。
乳がんの場合、乳房や腋窩リンパなどにまたがんができることを、「局所再発」と呼んでいます。
転移と再発の違い
先にもお伝えしたように、転移は元々がんがあった部位以外のところにもがん細胞が移動して、そこで増殖してしまうことを指します。なので、乳がんの人が、乳房やその周囲のリンパ節以外にがんができた場合は、転移したということです。
要するに、乳がんにおいては、手術後などの治療後にバストかその周辺のリンパに再びがんができることを「局所再発」といい、治療の前後にかかわらずそれ以外の場所にがんがあることを「転移」というわけです。
乳がん手術後の生活については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。あわせてご一読ください!
局所再発の治療法
乳がんの場合、温存手術後に同じ側の乳房に再発するケースが多いです。なので、局所再発を防ぐためには、乳房を全摘出することが大変有効です。しかし、全摘出してもリンパ節に再発することはあり得ます。
局所再発のみで、その他の部分に転移が見られない場合は、再び手術が行われるのが一般的です。
また、手術に加えて、放射線治療や薬物治療が必要に応じて行われることもあります。
再発なら、また手術をすることも可能で、転移よりも治してしまいやすいというのは意外でした!
手術した後も、いろんな治療や定期的な検診を続けていくことが大事なんですね。
転移や再発を防ぐには早期発見・早期治療が大原則!
乳癌と診断されて、さらに転移や再発となってしまった場合、つらい思いをする方も多いことでしょう。しかし、乳がん検診を受け、その後も医師の指示通りに再検査を受けていくことで、転移や再発のリスクを減らすことが可能です。
つまり、転移や再発についても、最初に診断される乳がんと同様に早期発見・早期治療が大切というわけですね。そうすれば、再発してもまた手術で根治を狙うことも可能です。
遠隔転移がある場合は、完治を目指すのはなかなか厳しいことですが、様々な治療により生活の質を高めていくことはじゅうぶん可能です。少しでも良い状態で過ごせるよう、医師とよく相談しながら乳がんと向き合っていきましょう。
そのためには、やっぱり早期発見!それほど進行していなければ、乳がんは手術で治るガンなのよ。セルフチェックと定期的な乳がん検診を欠かさないことが、がんに負けない一番簡単で大切な方法よ!
大きさや形も大事だけど、健康なバストであることが大前提よね。いつまでも満足いくバストでいるために、今からできることをやっておきましょうね。