乳腺炎とはどんな病気?乳腺炎の原因も含めて大解説!
小さな赤ちゃんを育てるママたちなら、乳腺炎という病名を耳にしたことがあるのではないでしょうか。それくらい、母乳育児を経験した女性にとってはポピュラーな乳腺炎ですが、実は詳しく見ていくといくつかの種類に分けられるんです。
今回は、そんな様々な乳腺炎について、それぞれの原因とともにどのような病気なのかを詳しく解説していきます。授乳中にかかる乳腺炎以外にも、授乳とは無関係に起こるものもありますので、授乳していない人も知っておくと助かることがあるかもしれません。
ぜひ、バストを健やかに保つためにも、乳腺炎の概要や原因について確認しておきましょう!
乳腺炎ってどんなもの?各種の乳腺炎の概要を知ろう
冒頭でもお話しましたが、授乳中の女性がよくなるものからあまり知られていないものまで、一口に乳腺炎と言ってもいくつかの種類に分けられます。まずは、それぞれの乳腺炎についてどのような病気なのか、概要をご紹介していきます。
急性うっ滞性乳腺炎
急性うっ滞性乳腺炎とは、授乳中のバストに起きる、一番よく知られているタイプの乳腺炎です。
母乳が乳腺の途中で詰まってしまい、その部分の乳腺に痛みや腫れなどの様々な症状が出てくるものです
授乳中の女性の中でも、特に初めての出産後2~3日にかかることが多く、この段階ではまだ炎症までは起きていません。
しかし、急性うっ滞性乳腺炎になった乳房は細菌感染しやすい状態ですので、素早く対処や治療をしないと炎症を起こしてしまうことも珍しくありません。
急性化膿性乳腺炎
急性うっ滞性乳腺炎の状態から悪化したり、乳頭から細菌が入ったりして、高熱や強い痛みなどといった比較的激しい症状があらわれるものが、急性化膿性乳腺炎です。
また、急性化膿性乳腺炎になってしまったら、できるだけ早く出産した病院や乳腺外科へ行かれることをおすすめします。
肉芽腫性乳腺炎
乳腺炎と言えば、上記のように授乳中の女性がかかる病気というイメージがありますよね。でも、授乳とは関係ない乳腺炎もあるのです。肉芽腫性乳腺炎も、そのうちのひとつです。
肉芽腫性乳腺炎とは、乳腺に炎症を起こして硬く腫れたり、痛みが出たりするもので、最終出産から5年以内で40代前半までの女性に多く発症すると言われています。
乳腺に膿が溜まってしこりになるので、乳がんを心配して病院に行く女性もいます。実際、マンモグラフィーなど乳がんのときと同じような検査をするのですが、見分けにくいときは針でしこりの中身を吸い出して調べる組織診を行います。
肉芽腫性乳腺炎が乳がんに移行するのではないかと心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、炎症なので乳がんに変化することはありません。
慢性乳腺炎
授乳期に発生する急性の乳腺炎に対して、授乳期ではなくてもかかる慢性の乳腺炎があります。慢性乳腺炎には、主に以下の2種類があります(先述の肉芽腫性乳腺炎を含める考え方もあります)。
種類 | 特徴 |
---|---|
乳輪下膿瘍 | 乳輪の下にたんぱく質などが溜まり、 膿の溜まった袋などができる |
乳管拡張症 | 乳頭周辺のたんぱく質や脂肪などが溜まった袋ができ、 それに刺激されて乳管に炎症が起きる |
どちらも乳輪の下あたりの乳管にしこりができて、痛みなどの症状が出ます。症状自体は急性の乳腺炎と似ていますが、慢性乳腺炎の方が症状の出方が穏やかなのが特徴です。しかし、慢性化してしまい長期に渡って再発を繰り返すことも少なくありません。
だから乳腺炎ってそういう急性のイメージだったんですけど、慢性のものもあるんですね。
乳腺炎でもしこりはできるので乳がんが心配になってしまいますが、乳腺炎のしこりが乳がんになることはないので大丈夫だそうです!
どんなことが乳腺炎の原因になるの?タイプ別に確認しておこう
乳腺炎には、大別すると急性と慢性の2種類があり、それぞれの中でも詳しく見ていくとさらにいくつかのタイプがあることをご説明してきました。これらは、発症する原因もそれぞれ異なる部分があります。
それぞれのタイプ別に、どのようなことが原因で乳腺炎となってしまうのかをお話します。
急性乳腺炎の原因
急性の乳腺炎は、授乳期にかかるものです。したがって、授乳が急性うっ滞性乳腺炎や急性化膿性乳腺炎の大きな要因となります。しかし、授乳していても乳腺炎にはならない人もいますので、授乳だけが原因というわけでもありません。
では、どんなことが要因となっているのでしょうか?
乳腺炎の種類 | 原因 |
---|---|
急性うっ滞性乳腺炎 | ・乳管がじゅうぶん開いていないこと ・母乳分泌量と赤ちゃんの哺乳量との不一致 |
急性化膿性乳腺炎 | ・急性うっ滞性乳腺炎からの悪化 ・黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌感染 |
また、授乳に慣れないうちは特に、強い力で赤ちゃんに吸われることにより、乳首に傷ができやすいものです。
そこから細菌が侵入してしまうと、急性化膿性乳腺炎となってしまうわけです。
肉芽腫性乳腺炎の原因
急性の乳腺炎に母乳の詰まりや細菌感染という明確な原因があるのと異なり、肉芽腫性乳腺炎の原因はあまりはっきりしていません。
自己免疫が関係しているのではないかと考えられていますが、まだすべての原因が明らかになってはいないのです。
自己免疫とは、身体の中に異物が侵入したときにそれを攻撃して排除する身体の働きですが、この機能が一部で壊れてしまって正常な部分にも攻撃をしてしまうのが、自己免疫疾患です。
肉芽腫性乳腺炎でも、ホルモンバランスや薬の影響など何らかの理由で免疫機能に不調が起こり、炎症ができてしまうと考えられています。
慢性乳腺炎の原因
慢性乳腺炎においても、急性の乳腺炎と同様に細菌が見つかるケースが多いです。しかし、細菌感染が原因になっているかどうかはまだ分かっていません。
慢性乳腺炎を繰り返す人に多い特徴として、陥没乳頭が挙げられます。陥没乳頭は乳頭や乳管の形成が不十分なので、そこに膿などがたまりやすいことが関係していると考えられています。したがって、陥没乳頭が慢性乳腺炎を引き起こす要因とも言えます。
急性の乳腺炎が初めての出産の直後に多いっていうのは、そういうわけなんだね。
慢性の乳腺炎は、原因がはっきりしていない部分もあるんだね。自己免疫疾患っていろんな種類があるけど、乳腺炎にもあるんだね。
特に陥没乳頭の人は要注意なの。
でも、そうじゃない女性でもしこりや痛みが出てきたら乳腺炎や乳腺症かもしれないし、その中には乳がんと紛らわしいケースもあるから、気になったら病院へ行ってみるといいわよ。
乳腺炎にはいくつかの種類があった!原因もそれぞれ違います!
乳腺炎について概要と原因をお話してきましたが、いかがでしたか?乳腺炎は母乳育児中の新米ママがなるものだと思っていた方の中には、ちょっと意外に思われた人も多いのではないでしょうか。
また、原因についても急性の乳腺炎と慢性のそれでは、まったくといっていいほど違います。母乳や細菌感染が主な原因になる急性乳腺炎に対して、慢性の経過をたどる乳腺炎では自己免疫や陥没乳頭などが要因と考えられています。
症状がつらいケースも多いですし、肉芽腫性乳腺炎などは乳がんと間違われやすいこともあるので、授乳中であるかどうかにかかわらず、乳腺に何らかの異常を感じたらまずは病院へ行くことをおすすめします。
授乳期の急性乳腺炎は症状や原因が分かりやすいし、対策も助産師さんなどに聞くことができるけど、慢性の乳腺炎は症状もそんなに強くないから、受診が遅れてしまいがちという問題があるわ。
特に慢性の乳腺炎は何度も繰り返してしまいやすいから、根気よくしっかり治療していくことが大切よ。自分のバストに違和感があったら乳腺炎かもしれないから、すぐ乳腺外来に行ってみてね。