胸が赤く腫れて酷く痛む!その症状は「急性化膿性乳腺炎」かも

2015/12/25

乳腺炎。ある大学の調べによると約10パーセントの妊婦がかかるという報告があるので、ママさんなら耳にしたことがある病名かもしれません。ですが、一言で乳腺炎と言っても、原因は2種類あります。

1つが、出産後母乳が乳腺に何らかの理由で詰まってしまい、炎症が起こるものです。そしてもう1つが、乳頭などに何らかの理由で傷がつき、細菌が感染することで炎症が起こるものです。

同じ乳腺炎でも、原因が違えば治療法も違いますので、まずは自分の乳腺炎がどのタイプなのかを知ることが、とても大切になります。

そこで、今回は乳腺炎の中でも細菌の感染で起こる「急性化膿性乳腺炎」に絞って、症状や対処法を詳しくお伝えしたいと思います!

急性化膿性乳腺炎は他の乳腺炎とどう違う?症状の比較

最初に確認したように、乳腺炎になる原因は2つあります。

  • 母乳が乳腺に詰まることで起こる…急性うっ滞性乳腺炎
  • 細菌が感染して起こる…急性化膿性乳腺炎

それでは、あなたの乳腺炎がどちらの原因で起こっているのかを知るために、症状を比較してみましょう。

急性うっ帯性乳腺炎

急性うっ帯性乳腺炎になると、以下のような症状が出ます。

  • 胸の腫れ
  • 軽い赤み
  • かたいしこり
  • 痛み
  • 微熱程度の発熱

この段階だと、栄養をとって母乳の出をよくするようにお風呂でマッサージするという処置で治せることが多いです。

急性化膿性乳腺炎

急性化膿性乳腺炎になると、以下のような症状が出ます。

  • 胸のかたい腫れ
  • 強い赤み
  • かたいしこり
  • 激しい痛み
  • 高熱
  • 膿瘍
  • リンパ節(脇の下)の腫れ

急性うっ滞性乳腺炎との違いは、症状の出方が強いことと、膿瘍ができたりリンパ節が腫れたりすることです。それを元に、あなたの乳腺炎がどちらなのかを見分けることができます。

感染症の中でも重度のものと認識してください。すぐに病院に行く必要があります。

実は授乳と関係ない乳腺炎もある!慢性乳腺炎とは?

乳腺炎と似たような症状が出ているのに、出産はしていないんだけど…と言われる方の場合、慢性乳腺炎である可能性が考えられます。

慢性乳腺炎は、授乳をしていなくても起こりうるのが大きな特徴です。慢性乳腺炎の主なものには、以下の2つがあります。

  • 乳輪下膿瘍
  • 乳管拡張症

乳輪下膿瘍とは、乳管に角質が詰まって細菌感染が起こることが原因でなります。乳管拡張症とは、細胞片や脂肪が含まれた液が乳管中にたまって炎症が起きることが原因でなります。

どちらの場合も、以下のような症状が出ます。

  • 乳輪の下部分に痛むしこりができ、大きくなったり赤く腫れたりする
  • 膿が出たり熱を持ったりする
  • 悪寒がしたり発熱したりすることがある

先に紹介した急性うっ滞性乳腺炎や急性化膿性乳腺炎と症状の出方は似ていますが、それらより症状の出方が軽いのが特徴です。化膿性乳腺炎と見分ける際には、症状の強さと授乳をしているかどうかをポイントにしてみてください。

急性化膿性乳腺炎の原因は細菌の感染です!

急性化膿性乳腺炎は、細菌の感染でなると言いましたが、ではどこから感染するのでしょうか?

急性化膿性乳腺炎について、もっと詳しく見ていきたいと思います。

細菌は授乳の際についた傷口から感染する!

急性化膿性乳腺炎の原因となる細菌は、授乳の際についた傷口からの感染によって起こることが多くなっています。

化膿性乳腺炎は、分娩後2週間後くらいから発症することが多く、乳児が乳を吸う際に、乳頭や乳頭周辺の皮膚が傷つき、そこに黄色ブドウ球菌などの細菌に感染し、炎症を起こします。
引用元:博愛医院

赤ちゃんに歯が生え始めると、授乳中に歯が当たることで乳首に小さな傷がついてしまうことがあります。すると、赤ちゃんの口の中にいる黄色ブドウ球菌などの細菌がその傷口から感染し、急性化膿性乳腺炎を引き起こします。

また、急性うっ滞性乳腺炎が重症化することでも、急性化膿性乳腺炎になることもあります。

出産後すぐのママさんの身体はお産で疲れている上に寝不足で著しく免疫が下がっています。身体が疲れると血流が滞り乳腺もつまりやすくなります。免疫細胞という身体を守ってくれる警察のような役割の細胞の機能が弱まり、細菌に感染しやすくなるのです。

つまり、産後2−3週間にかかりやすいというのは、免疫が下がっている上に赤ちゃんの歯で乳首が傷つきやすく感染しやすいからと考えられます。よって、産後7−8ヶ月でも免疫がさがっていて傷がついていれば急性化膿性乳腺炎になる可能性は十分にあるわけです。

また、時期に関しては最近母乳ダイエットや、断乳を遅らす効能などが取りざたされた経緯もあって、全体的に授乳期間が長くなっています。それにともない、産後7−8ヶ月でかかることもあるようです。

急性化膿性乳腺炎の症状の出方

症状の出方については先ほど簡単に確認しましたが、ここではもう少し詳しく見ていきたいと思います。

おっぱいが服にふれただけでも痛いと感じる。
悪寒をともなう38度以上の高熱。
乳首が赤く腫れ、熱を持つ。視覚的にわかる。
乳首が切れたり、皮がはがれたりしている。
ワキの下から乳房までのリンパ節に強烈な痛み、またしこりがみられる。
進行すると乳房内部で膿がたまりでてくる。
膿のせいでおっぱいの味がしょっぱい。

では、これらを元に、急性化膿性乳腺炎であるかどうかを自己判断する方法をご紹介します。

自己判断の手順

以下の手順で、自己判断をしてみましょう。

  • ①視覚で見てみる
  • ②熱をはかる
  • ③ゆっくり触って確かめる
  • ④母乳の味見をする
  • ⑤母乳の色を見る

①では、乳首にきれや、痛み赤くはれているなどの症状が無いかを確かめます。膿のようなものがでていれば、ほぼ間違いないでしょう。

②では、38度以上の高熱がでている場合は化膿したためと考えられるので、急性化膿性乳腺炎の可能性が高くなります。

③では、しこりのようなものが中にあるように感じれば、急性化膿性乳腺炎だと判断できます。

ですが、これだけでは急性うっ滞性乳腺炎と判断がつきにくいので、高い高いの動作をしたときに引っ張られるように痛いと感じるかどうかを合わせてチェックしましょう。急性化膿性乳腺炎の場合、内部で脇の下にあるリンパが腫れているため、この動作をすると特に痛みを感じます。

④で母乳の味がしょっぱければ、中で化膿した膿がでてきていると考えられます。

⑤で、母乳の色を見ることでも判断できます。急性化膿性乳腺炎になると、黄色い母乳がでてくることがあります。これこそが「膿」といわれる黄色ブドウ球菌によるものです。そのため、母乳の色が黄色い場合も要注意です。

膿がでている間は授乳は止めましょう!

急性化膿性乳腺炎の原因となる黄色ブドウ球菌は、食中毒のもとになったり敗血症のもとになったりと毒性の強い菌だといわれています。しかし驚くべき事に間の約30パーセントから100パーセントのヒトの皮膚もしくは鼻腔内に存在している菌だというのです。

危険と隣り合わせのように感じますが、少数でいる分にはそこまで問題はないようです。しかし傷口から侵入し体内で増殖すると、その毒性の強さから高熱、激しい嘔吐などを引き起こします。

黄色ブドウ球菌が体内に入ると、身体が菌と戦うため熱を上げます。すると、身体を守る側(白血球や免疫にかかわる細胞)と身体を攻撃する側(黄色ブドウ球菌)の攻防戦の末、でてきた細胞の死んだもの(体液、組織など)が膿となって出てきます。

膿が混じった母乳は味も悪いですし、やはり衛生上心配もありますので、急性化膿性乳腺炎になっている間は授乳は止めましょう。そう言われると、膿がでているのを知らなかったので、赤ちゃんに飲ませてしまったかもしれないと不安に思われるかたもいらっしゃることでしょう。

ですが、おそらく大丈夫です。ここに至るまでにお母さんの身体は異変を抱えています。そうなってから気づくまでにはそんなに時間を要しません。赤ちゃんが飲んだ母乳は大して多くはないはずです。

また赤ちゃんも乳腺がつまっていて飲めなかったりしょっぱくて飲まなかったりしているので知らずに自己防衛できている場合が多いようです。赤ちゃんも心配でしょうが、とにかくすぐに病院にいってママの手当をしてもらってください。

急性化膿性乳腺炎になったら、こんな治療をします!

急性化膿性乳腺炎は、細菌によるものなので、自宅で治すことはできません。そこで、急性化膿性乳腺炎が疑われたら、すぐに病院に行き、治療を受けることが必要です。

では、何科に行けばいいのでしょうか?病院に行くとどんな治療を受けることになるのでしょうか?見ていきましょう。

一番いいのは出産した病院に行くことです!

一番安心できるのは、出産した病院にかかることです。ですが、里帰り出産だったなどの理由でそれができないこともありますよね。そんな時には、産婦人科、婦人科、もしくは最寄りの外科もある総合病院をおすすめします。

病院での治療法

病院では、主に以下の2つの方法で治療を行います。

  • 抗生剤や消炎剤など、薬の服用
  • 外科的手術(切開して膿を出す)

②化膿性乳腺炎の場合、乳腺が細菌に感染しているため、有効な抗生剤や消炎剤を服用します。さらに、授乳を中止し、炎症をひろげないようします。また、炎症がひどい場合、切開し、膿を排出しなければならないこともあります。
引用元:博愛医院

まずは、抗生剤や消炎剤などで対応しますが、回復が見込めない場合、外科的手術をすすめられます。外科では乳輪切開法(乳輪の周りを切開する)、輪切り切開法(乳輪から離れた部分を切開する)のどちらかで排膿します。

内科的手法だけに頼ると、抗生剤を投与している間は授乳はあきらめないといけないという難点があります。そしてもし免疫が回復しないとまた同じ症状におちいってしまうかもしれません。

そこで効果的といわれているのが外科的用法です。おっぱいを1cmほど切って中の膿をだしてしまうのです。その後の授乳を考えるとあまり大きく切る事も負担になるし、なるべく少しの切開で膿を出し切る必要があります。

よって、排出する間は激しい痛みが伴います。しかし短時間で確かな効果が認められます。多くの場合は、傷跡は残りません。この外科手術にふみきるタイミングですが、1週間から10日が目安だと言われています。

早目の治療が必要な理由

急性化膿性乳腺炎は、できるだけ早めに治療をする必要があります。なぜなら、急性化膿性乳腺炎になった人の約25パーセントが、後に乳腺膿瘍になったという研究結果もあるからです。

抗生剤や解熱剤を投与して48時間以内に熱がさがり、継続して解熱する必要がなくなれば順調な回復をしているといえます。

ですが、48時間たっても継続して解熱剤を投与し続ける必要がある場合や、また自己の免疫の復活が遅く抗生剤を10日以上投与しつづけているような場合、症状が重く身体内部では抗争が長引いているという状態です。

これが続くと、おっぱいの他の部位にも同じように膿ができてしまう乳腺膿瘍に至る場合があります。この段階にくると間違いなく切開が必要になります。またここまで悪化すると、後に乳腺膿瘍になることもあるそうです。

乳腺膿瘍は急性化膿性乳腺炎よりもっと内部のしこりが大きくなっています。手術をする際、より大きな切開を必要とします。そのため、早目に治療を開始し、病院で様子を見ながら適切な治療をしてもらうことが大切なんですね。

夜中などですぐに病院に行けない時の応急処置

痛み始めたのが夜中だったなどの理由ですぐに病院に行けない時には、応急処置としてすぐに患部を冷やしましょう。それで、痛みが和らぎます。

ですが、自己判断でそれ以外の事をしないようにしましょう。

急性化膿性乳腺炎の予防法

急性化膿性乳腺炎になるのは、傷口があることが原因です。乳首の傷は授乳をする際、どうしても避けられない問題ではあるのですが、傷があるとわかっているときは、乳首カバーで防御したり事前に搾乳したりしましょう。

そうすることで、それ以上傷がつかないようにできますし、赤ちゃんの口から細菌が入る可能性を減らすことができます。

また、急性うっ滞性乳腺炎が重症化することでもなりますので、乳腺炎の症状が出たら、早目に病院に行くことも予防法となります。

急性化膿性乳腺炎は放っておいても治りません!

以上のように、細菌の感染や急性うっ滞性乳腺炎の悪化で起こる急性化膿性乳腺炎は、放っておいて治る病気ではありません。

さらに、放っておくと後々乳腺膿瘍になる可能性もありますので、早目に治療を受けることが大切です。

赤ちゃんが生まれるとお母さんはつい自分の体調のことに疎くなりがちです。ですが、赤ちゃんはママさんが健康でないと健やかに過ごせませんので、あなた自身のこともきちんといたわってあげてくださいね。

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