授乳中や妊娠中にも乳がん検診は可能?乳がんの治療はどうなるの?

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女性に多い病気は?と聞かれたら必ず上位に入るであろう病気「乳癌」。

そんな乳癌が、もし自分のお腹に新しい命が宿っている時期…すなわち妊娠中に発覚してしまったら、どうしますか?産むことは出来るのか?産まれてくる子供に影響はあるのか?など、たくさんの不安が出てくることでしょう。

また、授乳中に乳がんが分かった場合も、そうでない時期に発覚するよりも不安が大きいものです。
でも、やみくもに恐れることはありません。今回は、妊娠中や授乳中の乳がん検診や、そんなタイミングで乳がんが見つかった際の治療法について解説していきたいと思います。どうか心を落ち着けて、前向きな治療をしてくださいね。

授乳中の胸のしこりは乳がんとは限らない!考えられる病気は?

赤ちゃんを母乳で育てているママにとっては、バストのトラブルも珍しくないものです。そんなよくある授乳中のおっぱいトラブルに、しこりがあります。でも、しこりといえば乳がんの代表的な症状ですよね。

まずは、心配になってしまう女性も多いと思われる、授乳中の胸のしこりから考えていきたいと思います。

授乳中のしこりから考えられる病気

女性のバストにしこりができるのは、全く珍しいことではありません。ましてや授乳中には、しこりを感じたことがない女性の方が少ないかもしれないほどです。

なので、授乳中にしこりができたからといって、すぐに乳がんだと悲観する必要はありません。

では、授乳中のしこりは、何が原因なのでしょうか?考えられるのは、以下のようなものです。

  • 乳瘤(母乳の詰まり)
  • 乳腺炎

どちらも、授乳中の女性のバストにはとてもよくみられるものです。

乳がんとの違い

乳腺が母乳で詰まってしまうと、その部分がしこりになります。しかし、母乳の詰まりであれば、赤ちゃんに飲んでもらえば小さくなります。

また、いったんなくなったしこりが、またすぐできたり、左右両方にかわるがわるしこりが出来たりと、母乳の詰まりによるしこりは、乳がんのしこりとはまったく症状が異なります。

母乳の詰まりがひどくなったり、細菌に感染したりすると乳腺炎になることがあります。

授乳中は特に乳腺炎になりやすい時期ですが、これもしこりの他に痛みや発熱など乳がんとは違う症状が出るのが一般的です。

授乳中はしこりが出来やすい時期なんだね~。母乳が乳腺に詰まってグリグリができることは、よくあることみたい。

それが悪化すると、乳腺炎になっちゃうことも多いんだってね。でも症状がかなり違うみたいだから、乳がんと間違えることは少ないのかな?

ちょっと気になったんだけど、乳腺炎が乳がんの原因になることってあるの?

確かに乳腺炎と乳がんの違いは素人でも分かりやすいわね。実際、授乳中のしこりは乳がんではないケースの方がずっと多いのよ。

とはいえ、乳がんじゃなくても、母乳の詰まりを解消してもらえるし、しこりが気になったら病院へ行くといいわよ。

それと、乳腺炎と乳がんは直接的には関係ないわ。でも、まれに炎症性乳がんというケースもあるから、痛みがないのに腫れやしこりがあったら、念のため病院へ行った方がいいわ。

授乳中や妊娠中に乳がん検診は受けられるの?赤ちゃんへの影響は?

授乳中のしこりの多くは乳がんではないことをお伝えしましたが、だからといって授乳中には絶対乳がんにならないというわけではありません。また、妊娠中に乳がんではないかと心配になることもあります。そんなとき、乳がん検診は受けられるのでしょうか?

授乳中の乳がん検診

授乳中のしこりが母乳の詰まりや乳腺炎とは違うような気がしたときは、やはり乳腺外来などで診てもらうことをおすすめします。医師の判断や希望によっては、乳がんの検査もしてもらえます。

乳がん検診といえばマンモグラフィーを思い浮かべる女性も多いと思いますが、授乳中は乳腺が発達しているので、マンモグラフィーではガンかどうかの判別が難しくなります。

なので、授乳中は超音波検査による乳がん検査が一般的です。より詳しく診るために授乳中でもマンモグラフィが行われることもありますが、母乳や赤ちゃんには影響ありませんのでご安心ください。

妊娠中の乳がん検査

では次に、妊娠中の乳がん検診について見ていきましょう。

妊娠中は乳腺が発達するため、それまでなかったしこりをバストに感じる女性も珍しくありません。また、妊娠中に脇にしこりを触れて心配する方もいますが、副乳だったというケースもあります。これらは、どちらも全く問題ないしこりです。

とはいえ、不安ならばやはり病院で相談してみるとよいでしょう。妊娠中でも乳がん検査をすることが可能です。

しかし、妊娠中はお腹の赤ちゃんを守るため、微量とはいえ被ばくするマンモグラフィ検査は行われません。

授乳中と同様に超音波による乳がん検査が行われます。

授乳中や妊娠中ではないときの乳がん検診の基本的な内容については、こちらの記事にまとめてありますので、ぜひ目を通してみてくださいね。

マンモグラフィができないとか適さないという制限はあっても、妊娠中や授乳中でも超音波検査での乳がん検診ができるんですね。

そういえば、亡くなられたフリーアナウンサーの小林麻央さんに乳がんが見つかったのも、授乳中のことでした。(詳しくはこちら→本当に怖いのは骨転移?知っておくべき、乳癌の転移と再発とは

授乳中でも妊娠中でも、少しでも心配なことがあったらすぐに医師に相談すべきですね。

授乳中や妊娠中に乳がんが見つかったときの治療法とは

妊娠中や授乳中でも、乳がんの検査は可能であることをお話しました。では、もしも乳がんが見つかってしまったら、治療はできるのでしょうか?赤ちゃんへの影響はどうなのでしょうか。そんな気になる部分について見ていきましょう。

授乳中の乳がん治療

授乳中に乳がんが見つかった場合、授乳よりも乳がん治療を優先します。

なので、母乳育児を続けたいと考えていた女性には残念ですが、授乳は中止して乳がん治療をせざるを得ません。

その際の乳がん治療は、一般的な治療法と同じです。手術を基本に、乳がんの状況に応じて放射線治療や薬物治療が行われます。乳がんの治療法を徹底解説!手術から抗がん剤、放射線治療まで!←治療について詳しくはこちらをお読みください。

また、乳がんが見つかるまでガンがある側の乳房でも授乳していたことで、赤ちゃんへの影響を心配する女性がとても多いのですが、これについては問題ないことが分かっています。

なので、それまで母乳育児をしていたことでご自身を責める必要はありません。

妊娠中に乳がんになったら出産はどうなる?

妊娠中に乳がんが見つかった場合、かなり大きなショックを受ける女性も多いことでしょう。

しかし、赤ちゃんを産むことは可能ですのでまずはご安心ください。

昔は中絶を勧められていたようですが、現在では可能な限り出産ができるようにサポートをしていくことが基本となっています。妊娠を継続することで、お腹の赤ちゃんに乳がんが遺伝する確率や、乳がんの進行・転移のリスクが高まることはありません。

ただし、本格的な治療は出産後となりますので、医師との連携、相談が非常に重要になります。

妊娠中の乳がん治療

妊娠中の乳がん治療は、妊娠週数によって異なります。
妊娠中の乳がん治療

安定期に入る15週までは、麻酔による流産や胎児の奇形のリスクがあるため、そのリスクを利益が上回らない限り、基本的に手術は行われません。また、それ以外の治療も赤ちゃんに対するリスクが大きいので、原則として16週までは治療を待たなければなりません。

16週に入れば、手術や化学治療(一部の抗がん剤による治療)を始めることができます。

しかし、放射線治療やホルモン治療などは、赤ちゃんへのリスクが大きいので行うことができません。また、抗がん剤も種類によっては使えないものがあります。これらの本格的な治療は出産後になります。

授乳中の乳がんは、母乳育児は諦めなきゃいけないけど、それ以外は一般的な治療方法で治していけるんだね。

妊娠中に乳がんってわかったらすごくショックだけど、安定期まで頑張れば手術もできるし、赤ちゃんを産むこともできるみたいだから、絶望する必要はないね。

どんな治療や選択をしていくか、主治医や家族とじっくり相談することが大事だね!

妊娠中や授乳中でも乳がんの検診や治療はできる!

ただでさえ強い不安を感じ得る乳がんの検診や治療ですが、さらにそれが妊娠中や授乳中だったら、大切な赤ちゃんを守りながら自分の病気とどう付き合えばいいのか、目の前が真っ暗になる女性も多いはずです。

でも、お話してきたように、授乳中や妊娠中でも乳がん検診は受けられますし、万が一乳がんが見つかった場合でも治療することは可能です。とはいえ、妊娠中や授乳中にはできない検査や治療もありますので、医師とよく相談することが必要です。

実際に妊娠中や授乳中に乳がんが発見される人もいますので、気になるようならためらわずに妊婦検診で通っている病院や乳腺外来などで相談し、より良い対策をとっていきましょう。

妊娠中や授乳中という幸せ絶頂とも言える時期に乳がんが発覚した場合、その心痛は想像するに余りあるわ。子どもの成長が見られないのかな…と絶望してしまうこともあるわよね。

でも、妊娠中や授乳中に見つかった乳がんを乗り越えている人は、たくさんいるのよ。適切な治療をすれば再発の可能性も低くできるし、子どもと一緒に元気に過ごすことが出来るわ。

とはいえ、お腹の赤ちゃんや小さな子どもを抱えながら乳がんの治療を続けるのは、決して楽なことではないわ。家族や医師の協力や、社会的資源を活用しながら、希望を持って治療に臨みましょうね!