乳がんの種類とステージについて解説!
乳がんというと「不治の病」とか「怖い病気」というイメージを持つ女性も多いと思いますが、早期発見・早期治療ができれば完治もじゅうぶん可能な病気です。
しかし、乳がんにはいくつかの種類や、しこりの大きさおよび転移の度合いに応じたステージがあり、それによって治療法や生存率も違ってきます。大切なバストや命を守るためには、早く発見して治療を始める必要があります。
そこでこの記事では、早期発見や早期治療をするうえで知っておくべき知識として、乳がんのステージや種類についてご説明します。ぜひ、参考にしてくださいね。
乳がんにはどんな種類があるの?3種類の乳がんを紹介!
乳がんには、初期のガンから珍しい乳がんまで、大きく分けて3つの種類があります。さっそく、そんな乳がんの種類について見ていきましょう。
乳がんの種類
乳がんとは、乳腺組織に発生する癌です。乳がんの原因などについては、こちらの記事にまとめてあります。ぜひ目を通してみてくださいね。
そんな乳がんには、大きく分けて以下の3つの種類があります。
種類 | 特徴 |
---|---|
非浸潤がん | ・比較的早期の乳がん ・ガンが乳管や小葉などの乳腺組織の中にとどまっているもの |
浸潤がん | ・ガンが脇やリンパ節など乳腺組織の外にも広がっているもの |
パジェット病 | ・しこりができないタイプのガン ・乳頭や乳輪に赤みなどが出るもの |
以下に、ひとつひとつの種類について詳しくご説明していきます。
非浸潤ガン
非浸潤ガンは、乳管や乳腺の中だけにとどまっている乳がんです。つまり、ごく初期の乳がんということです。この段階では手に触れるようなしこりにはなっていないケースが多いため、自覚症状もなく気づきにくい乳がんです。(乳がんの症状についてはこちらをお読みください)
しかし、近年は非浸潤ガンが発見されることが増えており、そこには、乳がん検診を受ける女性が増えつつあるという背景があります。乳がん検診については、こちらも参考にしてください。
非浸潤ガンは手術すれば治る乳がんですから、この段階で発見して治療しておくことが、乳がんで命を落とす女性を減らすための重要な手立てと言えます。
浸潤ガン
浸潤ガンとは、ガン細胞が最初に発生した場所だけにとどまらず、近隣の組織やリンパ管などに入り込んでいるもののことです。
乳がん検診の受診率が上がってきているとはいえ、まだまだ発見された時点ですでに浸潤がんとなっているケースも多く、手術前後の薬物治療や放射線治療などが必要となることも多いため、浸潤ガンにくらべると何かと負担の多いがんと言えます。
パジェット病
あまり聞きなれない病名ですが、パジェット病というのも乳がんの中の1種類です。
乳房の中にしこりなどができる浸潤ガンや非浸潤ガンと違って、パジェット病は乳頭にただれが起きるタイプのガンです。
パジェット病はとても珍しいタイプの乳がんで、全乳がんのうちの1%程度と言われています。しかし、一般的には他の部分に転移しにくく、治りやすい乳がんです。
転移があるかどうかが、主な種類の分け方ってことだね。
早く発見すれば非浸潤ガンで済むけど、非浸潤がんのうちに発見できなければ浸潤ガンになっていっちゃうってことだね。やっぱり早くがんを見つけて治療をした方がいいね!
乳がんのステージについて知ろう!それぞれのステージの特徴とは
乳癌の進行の程度を示す基準として、ステージ(病期)というものがあります。個々では、そんなステージについて、そして近年変化しつつあるステージについての考え方についてお話します。
乳がんのステージとそれぞれの特徴
乳がんのステージは以下のように分類されています。それぞれのステージの特徴とともに見てみましょう。
ステージ | がんの状態・リンパ節転移の有無 | 他臓器への転移の有無 |
---|---|---|
0期 | 非浸潤ガン・パジェット病 | なし |
Ⅰ期 | ・しこりが2cm以下でリンパ節転移なし | なし |
Ⅱ期 | A:しこりが2~5cm以下でリンパ節転移なし または、しこりが2cm以下で腋窩リンパ節転移あり B:しこりが5cm超でリンパ節転移なし または、しこりが2~5cm以下で腋窩リンパ節転移あり |
なし |
Ⅲ期 | A:しこりが5cm超でリンパ節転移なし または、しこりの大きさは問わず腋窩リンパ節か胸骨リンパ節に転移あり B:しこりの大きさやリンパ節転移の有無は問わないが、 しこりが胸壁に固定されている または炎症性乳がん C:しこりの大きさは問わず腋窩・胸骨・鎖骨リンパに転移あり |
なし |
Ⅳ期 | しこりの大きさやリンパ節転移の有無にかかわらず他臓器に転移あり | あり |
このように、しこりの大きさと、脇や胸骨などのリンパ節に転移があるかどうか、また、他の臓器に転移があるかどうかの3点によって分類されています。
また、ステージとは別に、手術をした後に再び乳がんが見つかることを「再発」といいます。
再発について詳しくはこちらの記事をご覧いただきたいのですが、乳房内にできたものだけでなく胸から離れた臓器に転移したものも再発に含まれ、Ⅳ期のものと合わせて「転移性乳がん」といいます。
ステージよりもがんの性格が重視されるように
近年は乳がんに関する研究が進み、癌(しこり)の大きさや転移の状況よりも、どのような性質を持ったがんなのかということを重視されるようになってきています。
でも、がんの性質とはどういうことなのでしょうか?
がんの性質を確認するためには、以下のような項目についてそれぞれチェックをし、どんなタイプのガン細胞なのかを調べます。
- 閉経しているかどうか
- がん細胞の増殖が活発かどうか
- がん細胞がホルモン受容体を持っているかどうか
- がん細胞がHER2タンパク受容体を持っているかどうか
- がん細胞の見た目や色
- がん細胞の周囲の小さな血管やリンパ管にもがん細胞が侵食しているかどうか
HER2タンパクやホルモンは、乳がん細胞が増殖するときにエサにするもので、乳がんのタイプによって取り込むエサが違い、それによって効果的な薬も違います
それらも含め、上記の項目をもとにがんの性格を割り出し、進行のスピードや転移の状況を推測したり、それに合った治療法を選択したりすることができるのです。
最近では、もっと多角的に乳がんのタイプを解明して、それに合った治療法が選べるようになってきたんですね。ステージという考え方はちょっと古くなってきているということでしょうか?
研究が進んで、がんのタイプを見極めることで、より積極的な治療ができるようになってきたというわけよ。
でも、ステージが初期でも、絶対にその後の経過が良いわけではないことも分かってきたから、しこりが小さいからといって油断して治療を先延ばしにしてはダメよ。
乳がんには転移のしやすさなどによって3つの種類があった!
乳がんには、大きく分けると非浸潤がん・浸潤ガン・パジェット病の3種類があること、ステージやがん細胞のタイプなどによってさらに詳しく分けることができることをお話してきました。
乳がんのステージは0期からⅣ期までありますが、必ずしもこの順を追って進行していくわけではありません。小さいがんでも、全身に転移していることもあり得ます。なので、最近はステージよりもがんの性質に注目するのが主流となってきています。
とはいえ、非浸潤ガンのうちに治療すれば高い確率で治せると言われています。できるだけ早く治療を始めることが、何よりも大切だということを覚えておきましょう。
乳がんの種類は意外とシンプルで、転移の有無によって2種類、そこにパジェット病という乳頭のただれを起こす乳がんを含めた3種類があるのよ。
ステージよりもがん細胞の性質が重視されるようになってきて、必ずしもステージでその後の経過が決まるわけではないと考えられているけど、早期発見・早期治療が大切なのは変わらないわ。
自分だけは大丈夫と思い込まず、乳がん検診やセルフチェックを実践しましょうね!